第二十七章 Pホテル-6
(今が勝負だ・・・)
竹内は自分に言い聞かせている。
この瞬間に女の心を掴まなければ意味がない。
「確かに私はあなたを騙した・・・」
竹内はメガネを外すと、テーブルの上に置いた。
「ずっと、あなたを狙っていました」
細い目が現れ、香奈子を睨んだ。
(うっ・・・)
ジワッと嫌な予感が走った。
迫力ある鋭い眼光に身体が射すくめられてしまう。
(こ、こわい・・・)
不安が広がっていく。
睨まれただけで力が抜けていくような気がする。
死をも覚悟した強い決意で挑んだ筈なのに。
自分がいかに無力なのか、思い知らされてしまう。
「香奈子さん・・・」
男が立ち上がった。
(ああっ・・・)
その大きな身体を見上げた時、香奈子の脳裏にあるシーンが浮かび上がった。