REAL BLOOD-1
流れる身体中を。
紅い液体。
血は鎖。
連鎖して絡み合い、結合して生む新しい命。
血の繋がりは絆。
紛れもなくそれが証。
父と子を結び付ける唯一無二の証明。
血で区切られる線と壁。
自と他。
私もその慣習に常識に捕らわれ侵されていた。
ついこの間まで。
人は繋がりを求める。
それは肉体的なものであったり所属する団体であったり血であったり。
仲間を探す。
群れる。
そして該当しないものには……
排他的思考。
自と他を分け隔てることで生き長らえてきた生命。
前置きはこのくらいにして、私の最近の変化を伝えたい。
一言で言えば先に挙げた血の繋がりを私は打ち消したい。
いや語弊がある。
越えたいのだ。
私には息子がいる。
血の繋がっていない息子。
世間は白い目で睨み付ける。
そこに絆は存在しないと断定する。
なぜ?
証ならここにある。
と私は胸を押さえた。
ここに二人の絆がある。
彼は愛を求めていた。
きっと強く抱き締めて欲しかったのだろう。
まだ子供を持たない私にとってそれはくすぐったく奇妙な感覚を抱かせた。
彼は優。
優しい男になるよう願いを混めて名付けられた。
おれはハル。
優もおれをハルと呼んでくれた。
父ではない。他人でもない曖昧な関係。
一般的な定義では他人に分類されてしまうのだろうか。
かまわない。
いきなり父親面したくなかった。
もしおれの前に全く知らない男が現れて
「今日からおまえの父さんだよ。」
などと言われてもきっと拒絶するだろう。
だから自然に慣れていきたかった。
友達から始めよう。
きっと二人の絆は血を越えるから。
夜になると彼は闇に対する恐怖から泣き出した。
ここにおれはいるよ。
安心させてあげたかった。優しく髪をなぜてあげた。しばらくしてようやく泣き止み、彼は深い眠りに落ちていった。
傍らでそれを見つめ、微笑みがこぼれる。
愛しい。
この感情には一番ピッタリくる言葉だった。
彼にこれからも付き纏うであろう闇から守ってあげたい。