find out-2
「織華の勝ちー、勝者にはジュース一本」
「やった、ありがと歩」
「えっ、そんな事誰も言ってないじゃないか」
「いーじゃない、一本ぐらい、減るものじゃないし」
「お前の財布の中はな」
織華はクスクス笑う、蓮はゲラゲラ笑う、そして俺が困る、これがいつもの光景、俺が一番好きなとき。
「おっ、もうそろそろ終わるみたいだ」
蓮は先生の方を見て言う、確かにかくれんぼの歴史も最後の方に入っている。
「ってわけだぁ、分かったか一年供!」
返事はない。
「そうか、今年の一年も出来がいいヤツばっかりでいいな。さて去年と変わる所だが、今年はこの学校のすぐ裏にある山で行う」
蓮が「ほらな」という感じに目配せする。
「あと、勝利賞品が付いた」
途端に生徒がざわつく、賞品しだいだがなんでそんなもの付くんだ?
「なんでって、なんか活気がないから付けちゃおうって話になったらしいわ」
「・・・・勝手に心の中覗くんじゃねぇ」
「だって歩、特別分かりやすいんだもん、歩しゃべる必要ないかも」
「いやだなそれ、お前一人で話す事になるぞ」
「あっ、それだったら駄目ね、まるで痛い子になっちゃう、痛い子なら蓮で十分だし」
うん、十分だ。
「んっ、なんか呼んだか?」
耳と運動神経だけはいい蓮が振り向く。言われてみるとなんか痛いぜ。
「いいえ、なにも、帰りに喫茶店でも寄ろうかって話してたところ」
「マジで、行く行くー」
うーん、痛い。
目が痛いので先生を見てみる、一年に商品が何か当てさせているようだ、まったくムダな事を。
「ったく誰も当たんないなー、正解はな・・・」
体育館が静まり返る、うわっ、みんな興味しんしんだな、俺はさらさらないけどな、良い物なんか賞品に出るわけない。
「賭ける?喫茶代」
「・・・だから心読むなっつーの」
「じゃ決まりね」
「ったく」
「賞品は・・・なんと、購買一年間五十%オフカードオオオォォォォ!」
瞬間、体育館が熱狂の渦に包まれる。
俺は硬直、普通だすか、そんな貴重なもの。
「ありがとね、歩」
隣には満面の笑みの織華がいた。