find out-10
俺は織華のポケットから携帯を取り出し、リダイヤルから織華のお父さんへ電話をする。
何回かコールがなった後、幸いにも出てくれた。
「もしもし、織華のお父様ですか?」
『そうだが、君はだれだね』
「わたしは織華の友達の歩と申します、突然すみませんが、織華をロシアに連れて行くのを取り消して欲しいと思いまして」
隣で織華の肩が少し反応した。
『ふん、そうだろうと思ったわ、その話は決定事項だ、動かすことは出来ない』
「そう言わないでください、織華さんが行きたくないと言っているのはご存知でしょう?」
これは心理戦だ、どう言いくるめるか、一瞬でも油断したら負ける。
『そんなのは、分かっている。しかししょうがないのだ、織華を一人でおいておく事なんて危なくて出来やせん、まだまだ一人じゃなにもできん』
この親は本当に織華を見ているのか疑いたくなった。
「それは違いますよ、織華はーしっかりしています、何事も一生懸命に働いていて、それでいて、笑顔を絶やしません。私は正直に織華はしっかり一人で生きていける人だと思いますよ」
織華はまだ顔を伏せている。
『・・・・』
勝った、思った、しかし人生そう甘くないわけでー。
『き、君はいったい織華の何なんだね、友達程度の君になんか言われる事はない!』
なるべくならこのセリフは使いたくなかったんだが、しょうがないだろう。
「私は、織華の恋人です、織華が泣き入って相談してきたので、止めに入りました。私の役目は終わったようなので、あとはご検討祈ります」
そしてすぐ切る、相手は絶句していたようだが別に問題はないはずだろう。
「歩」
織華はもう泣き止んでいた。
「今の話、本当?」
「へっ?」
「今、恋人」
え、お、俺どうするよー!
「えっ、えとさっきのはな、これ言わなきゃ駄目だと思ってな、とっさにー、そのー」
途端に織華の顔が歪む。
「じゃあ、さっきのは嘘?私のことキライ?」
「くっ」
女の最大の武器は涙、とよく言うがその通りだった、こんなんで拒否できねぇ!