第二十一章 宴(うたげ)-1
第二十一章 宴(うたげ)
【カンパーイッ・・・】
八つのグラスが合わさり、小さな金属音がダイニングに流れた。
透明な金色のシャンパンの細かい空気の粒越しに、夕日が沈もうとしている。
みんなの顔もその色に染まり、オレンジがかって見えた。
グラスを傾けると私の喉に心地良い甘さが通り、その後にお酒独特の熱い感触が沸き上がった。
お風呂上がりのせいもあるが、ほてった身体にしみわたり今日の疲れを癒してくれる気がする。
「いやっー・・・うまいっ・・さいこぉー・・・」
秋生さんが顔をしかめ、大きな声を出した。
「本当っ・・・美味しいっ・・・・」
隣で、そらさんが嬉しそうに相槌をうっている。
艶のある形の良い唇から、白い歯をこぼしている。
私はこの可愛い顔が大好きだ。
私をレイプした犯人達を秋生さんと共に懲らしめてくれたこともあるが、この夫妻と知り合えたことに無上の喜びを感じる。
それは、新藤さん夫妻にも、同じことが言える。
「美味しいわね、あなた・・・」
「ああ・・・本当に・・・」
料理をお皿に取りながら夫に渡す桜さんに、優しく微笑む剛さん。
その名を浮かべた瞬間、少し身体が熱くなった。
自然に苗字ではなく、名前の方を浮かべている。
それは秋生さん、アキ君も同じように。
セックスって不思議だ。
ついこの間、会ったばかりの人達なのに。
もう何年も昔からの友人のように、かけがえのないものに思えてしまう。
それは当たり前のことかもしれない。
『好きっ・・・大好きぃっ・・・』
愛の叫びと共に背中をギュッと抱きしめながら、熱いザーメンを体内に放出されたのだ。
藤本さんは勿論、私はここにいる男達が大好きだ。
夫以外の男達がこんなに愛おしいと思えるなんて、過去の私なら想像もつかないことだろう。
それは、裕君も同じなのかもしれない。