第二十一章 宴(うたげ)-7
一旦、言葉を区切りビールで喉を潤している。
「又、身体のケアも大切です・・・。
激しい挿入の連続は、
粘膜を傷つける危険を秘めています。
私が特別に処方した飲み薬と塗り薬をお風呂上りに、
かおりから渡されたと思いますが・・・」
さすが、整形外科の医師である。
藤本さんの細かい心配りに、改めて感心する。
4組同時に行うスワッピングという興奮の中、ともすれば身体に異常をきたす人が出るかもしれないということは尤もなことだと思う。
映見だって4人の男達とのセックスで、肉体にかなり負担になっているはずだ。
「明日は、お休みにします・・・」
「えっ・・・?」
僕が思わず聞き返した。
よく見ると、他の人達も意外そうな表情になっていた。
「さすがに私の歳では、
連続はきついのと・・・」
低い声で説明する様子はいつも思うのだが、大学の教授のようだ。
「精神的な休養にも、
注意したいからなのです・・・」
理論だった内容は、本当に授業を受けている気になる。
「明日は時間を気にせずに起きて、
その後、海辺を散歩しましょう」
「うわー・・すてき・・・」
桜さんが嬉しそうに声を出した。
上品さは変わらないが、初めて紹介された時よりも、ずっと明るくなったような気がする。
「夫婦二人で愛情を感じながら、
一日を過ごす・・・」
だが、その内容には秘められたものが隠されているようだ。
所詮、僕達はこの人の手の平で踊らされているのかもしれない。
勿論、悪い意味ではなく。
「そうすることによって・・・
スワッピングの興奮・・・
が更に大きくなると、思いませんか?」
数秒の沈黙が続いたが、タメ息に似たどよめきが、すぐに起こった。
その後、喧噪のような談話が始まり、宴(うたげ)が楽しく続いていった。
スワッピングの初日は、想像以上の満足感で僕達を包み、終わった。
明日の二日目は、お休みだ。
藤本さんの言う通り、夫婦の愛情を育むことにしよう。
そして、スワッピング三日目は。
どんな興奮が待ち受けているのかと、僕の胸は高鳴った。
ふと映見を見ると、その瞳も潤んでキラキラと光を散乱させていた。