第二十一章 宴(うたげ)-3
僕と同じように。
かおりさんが微笑みながら、ネットリとした視線を絡ませてくる。
ぷっくりした唇の弾力が思い出させる。
そらちゃんが秋生の肩越しに、半月の形をした瞳で何かを語りかけている。
スッと伸びた鼻先に、僕は何度もキスをした。
桜さんの上品な顔立ちから送られてくる視線は、僕を母のように包んでくれる。
抱き合いながら放出した快感は、今も全身に残っている。
気だるい倦怠感と酒の酔いで僕の意識は、フワフワと浮遊しているようだ。
愛し合った美女達と、連帯感で結ばれた男達との楽しい宴(うたげ)を心から楽しんでいた。
今夜の夕食は、男達が料理したものだ。
と言っても大げさなものではなく、鍋だったが。
だが、食材は一級品だ。
「凄く、美味しいですよ・・・」
僕はアツアツの肉を頬張りながら、藤本さんに言った。
「喜んでくれて嬉しい限りですよ・・・」
顔をほころばせた表情は本当に嬉しそうだ。
「高かったんじゃないですか・・・?
これほど見事なスッポンは見たこと無い」
新藤さんが、ビールに変えたグラスを傾けながら聞いた。
「まぁ・・そこそこ、には・・・ね?」
いたずらな目を、みんなの顔に向け説明していく。