光を走る性。-1
外灯に群がる蟲たち。
チカチカと眩しく熱を放つモノに挽かれる蟲たち。
羽音をたてながら懸命に飛び交う。
光を求めて。
あの外灯が彼らの救い。
人も同じだ。
名声や快楽、安直な選択に群がる人たち。
救いを求めて。
光を求めて。
やがて身を焦がすことも知らず。
体が熱に傷んでいっても。光に集うモノたち。
闇を忌み嫌った。
私も紛れもなくその一人。
闇が世界を覆い尽くした。視界にはもはや何も映らない。
恐怖を覚えて駆け出す。
どこへ?
それもわからない。
蟲たちと同じ思考で。
彷徨う。
路傍の月明かりを求めて。
光。
それは勝利を乞う戦士にとっても同じだった。
闘技場には血汗交じった悪臭が充満している。
地面にはその跡がくっきり残って何かを物語っている。
これはある戦士の記憶。
臆することなく闘い、そして果てた戦士の叫び。
彼の中の大きな疑問。
何故闘うのか?
何故傷つけあうのか?
勝利の価値は?
他者を犠牲にしてまで成り立つ命の意味は?
死は闇。
死は無音。
そして眠り。
それを恐れ懸命に剣を振るう。
命を紡ぐために。
ライアン・シェーカー。
通称「鋼のライアン」
人生も半ばに差し掛かり、尚も衰えを知らない彼は勇敢な戦士だった。
闘いが彼の自己表現。