秘密の社員研修A-4
そんなつもりはなかったのに、意図せず彼女の首筋に加奈子の柔らかな唇がほんの少しだけ触れてしまった。
「ん、っ……」
佳織の口から、甘い吐息が漏れ出る。
咄嗟に、加奈子は顔を上げた。
「ーーふ、中村さんも意地悪なのね」
佳織が切れ長の目を細め、眉を八の字にして、とても切なそうな顔をする。
理央が佳織を抱いた時、こんな顔で彼を見つめたのか。
「ち、違っ……わざとじゃなくて」
「ふふ、わかってる。佐藤くんはこんな素敵な唇、独り占めしてるんだ」
佳織は指先で加奈子の髪の毛に触れると、耳を顕にさせるように濡れた髪を動かす。
そして、唇を耳に寄せて囁く。
「あたしは中村さんの頭の中で佐藤くんのモノ……どんな風に、受け入れたの?あたしも、中村さんみたいに……亡くなった夫以来、久しぶりだったの」
「ん、や……やだ、聞かないでください……」
「想像したくないって言うけど、羨ましいなんて言われたら、ひどいこと、言いたくなる……でしょう?」
耳元に吹きかかるアルコールの匂いの混じった吐息。反響するいやらしい声。
佳織の手のひらで、加奈子の腰は抱えられていた。
密着しているせいで、お互いの鼓動が薄い布越しに伝わってくる。
相手は女性なのにもかかわらず、こんなにも卑猥な雰囲気になってしまっている。
加奈子は緊張のあまり、目と唇をぎゅっと閉じた。
何も答えない加奈子に、佳織は耳元に唇が触れそうな程に顔を近づけたまま、腰に回した手をゆっくりと撫でるように動かす。
その性的な手つきに、加奈子は図らずも吐息を漏らしてしまった。
「中村さんが佐藤くんにされたいこと想像したなら……あたしは二人にレイプされてるのに、たくさん気持ちよくなっちゃうのかしら……ふふ」
「わ、わかってるなら、聞かないで、お願い……です」
「いやらしい……。自分の彼氏が、あたしのことレイプしてるの想像して、たくさんエッチな気分になっちゃったんだ……?」
そう言われ、はーっ、はーっと、加奈子の吐息が荒くなっていく。
佳織を激しく犯す理央を想像しながら、何度果てたか。
実際のペニスの感触を知っているから、指を差し込むだけじゃ足らなくなる。
佳織を求めたように、自分を求めて欲しい。
そんな乱暴な行為の中で、佳織しか知らないその表情を欲していた。
「中村さん。ここ、どうなっちゃってるの……」
腰を抱きとめていた右手が太ももへ伸び、さらには右手のひらを下腹部に添えるようにして、佳織は親指をそっと、太ももの隙間に潜り込ませる。
「え、あっ……待っ……」
強く押されているわけではないが、加奈子の下着の中は蕩けきっていて、それがバレないように加奈子は思わず腰を引く。
「な、何っ……本間さんっ……」