第二十章 不安(画像付)-1
第四部 不条理な記憶
第二十章 不安
「ママ・・・・」
暗闇で声がした。
「う・・ん・・・」
香奈子は目を開ける事が出来なかった。
「遅くなってごめんなさい・・・」
それが娘の声と分かると、何とか起きようとするのだが身体が重く感じた。
「同窓会が長引いちゃって・・・」
声がひどく遠く感じる。
言葉を返そうとするのだが、力が入らない。
「寝ちゃったのかな・・・?」
圭子は起きようとしない母に気を使って、そっとドアを閉めていく。
「おやすみなさい・・・」
囁くような声と共にドアが閉まり、部屋は暗闇に戻った。
香奈子は返事をする間もなく眠りに落ちていった。