山田屋敷〜第一夜〜-1
【はじめに】
本作品は池波正太郎著『真田太平記』の「秘密」の章に関する2次創作です。本作で真田源二郎とお江が山田屋敷の湯殿の中で口付けしてから、3日後に屋敷を後にするまでの「空白の3日間」を勝手に想像(妄想)しながらつづった作品(駄作)です。
原作はこれから或いは原作を読み終えられた方で原作のイメージを大事にしたい方はご遠慮ください。
また本作を読まれる方も、可能なら事前に原作を読んでおけば(特に登場人物関連)本作はすんなり入ってくると思います。
以上、長くなりましたが前置き終わります。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
――――――湯船の縁でお江の胸にかき抱かれてから約半刻、
「お先にお部屋にお戻りくださいませ。私も後から参ります」というお江の言葉に促され、
源二郎は一足先に湯船を出ると、寝間として与えられた一室に戻っていた。
身体を拭いて長襦袢を身につけ、臥床の上にごろりと仰向けに横たわる。
灯りのない部屋の薄暗さに目を慣れてきた頃、おもむろに右手を掲げてみる。
眼前で広げた掌の中に先程無意識に掴んでしまった白く豊かな乳房の感触がまざまざと甦ってくる。
(まさか、このようなことになろうとはな・・・・・)
成り行きとはいえ、角兵衛の襲撃で負傷したところをお江に助けられたことで彼女と直接話す機会を得ることになり、傷の手当と湯治を経てそのまま誘われるままに唇を重ねていた。
女性、しかも草の者のくノ一とこのように繋がりを持つことになるのは初めてであったが、お江の唇と乳房と肌の感触がそんなことすら気にする暇すら与えぬくらいの衝撃を与えていた。
お江が共に屋敷に泊まり、そのまま夜分に源二郎の部屋に忍んでくるということが何を意味するのか。
女体を知らぬ源二郎とはいえ、それが男女の交わりを意味していることくらいは察していた。
源二郎の下腹部には熱と血が巡り、彼自身の本能を如実に示している。
手当した傷の痛みの名残は既に感じることすら無くなっていた。
「む・・・・・・」
躰の疼きと気持ちの乱れの中、源二郎は臥床の上で何度か寝返りを打っていた。