初彼女-5
萌香の体も震えていた。男性との初めてのキスの瞬間だ。人よりも遅いファーストキス、この瞬間に対して憧れて来た時間は人一倍強い。男性とともに歩む人生の第一歩に萌香は喜びと緊張に包まれていた。
(あ…、来る…)
顔の間近に彰の息使いを感じる。無意識に身構える萌香の顔を見た彰は萌香のキス顔に胸が大きく膨らんだ。
(これからこんな可愛い子といつでもキスが出来るんだ…!)
今までの人生からは考えられないような薔薇色の人生の始まりに喜びが湧き上がる。彼女ができるだけでこんなに世界が変わるのかと感動すら覚えた。
(付き合い始めたと言う事はもう俺のものなんだ、萌香ちゃんが…)
そう思いながら唇を寄せる。そして萌香にとっては初めてのキス、彰にとっては初めての彼女との初めてのキスの瞬間が来た。
(!!)
お互いが同時にお互いの唇の感触を確かめった。頭の中、そして自分達の周りは幸せな色一色に包まれているのが分かる。唇の温もりが2人の愛の始まりだった。
(好きな人とのキス…。幸せ…)
萌香の体から震えが消え、心が落ち着いてきた。無意識に彰の背中に手を回す。
(ああ、萌香ちゃん…)
この瞬間をどれだけ待ち望んでいたか分からない。プルンとして弾力があり柔らかな唇。永遠に離れたくない、そう思った。
(萌香ちゃん…)
萌香の唇に満たされていると、彰の体に異変が起きる。
(…あ…、勃って来ちゃった…)
股間がムズムズし、そして段々勃起して来てしまう。大好きな萌香の匂いを至近距離で嗅いだせいかも知れない。その勢いは止まらなかった。
(や、ヤリたい…。萌香ちゃんと…。でもいきなりしたいと言ったら嫌がられるかな…。でも亜希子さんが言ってたな…、決して付き合ってなくても好きな男の部屋に入ると言う事は、女はそれを覚悟してるものだって。萌香ちゃんもその覚悟を持って俺の部屋に来たのかな…)
萌香の唇の感触を確かめ続けながらそう思った。
(このまましちゃうのかな…。どうしよう…。怖くなって来た…。でも…)
萌香もそれを意識していた。勿論処女だ。初めての瞬間は痛いと言う話は聞いていた。だがいつまでも処女でいるつもりもない。ようやくそれを捧げてもいいと思える男性に巡り会えたこの瞬間を後悔したくなかった。
(私…、井上さんに全てを捧げたい…。)
彰よりも先に萌香は覚悟を決めていたのであった。