第十四章 媚薬-1
第十四章 媚薬
「はい、お待ちしております・・・」
受話器を置いた後、香奈子は不安げな表情のまま食卓を片付け始めた。
ティーカップに残った香りが吐き気を誘い、眉をしかめた。
「今日は何だか身体の調子がおかしいわ・・・」
額に手を当ててつぶやいた。
さっき飲んだ薬はまだ効果が現れていない。
不快な身体の火照りがまだ続いていた。
ふと、これはレモンティーのせいではないかと思った。
ダイエット促進の飲み物だと聞いて、飲み始めたのだが。
(でも・・・)
最近、違和感を覚えるようになっていた。
年頃の娘にも飲ませている事だし、変な成分でも入っているのじゃないかと心配になってしまう。
『一種の精力剤でもあるんですよ・・・
研究しましてね』
昨夜、竹内に話すと悪びれずに説明を始めた。
『そりゃそうでしょう・・・。
ダイエットをしているとどうしても元気を無くして
しまいますからね。
他の商品と違いお客様の健康を第一に
考えているんですよ・・・』
説明を受けて納得をしてみたものの、今朝の体調の悪さは尋常ではない。
明日からは圭子に飲ませるのは、やめようかと思うのだった。