我以外皆師成−1-4
だからセミは熱情的に
鈴虫はどことなく悲しげに美しく。
メロディを全身で奏でているのではないのだろうか。
知らぬまに眠りに堕ちた。夢では父が怒っていた。
母が泣いていた。
朝がくる。
スズメの鳴き声で目が醒めた。
小刻みにリズムよく流れる音色。
よっぽど目覚まし時計よりもいい寝起きだった。
早朝の境内は静まりかえりこの静寂がたまらなく好きになった。
今日こそ頂上を目指す。
登り切った時に何かが見つかる気がした。
誰かの為じゃなく自分自身への答えが。
足取りも軽く私は頂上を目指した。