我以外皆師成−1-2
『叫びの中にあるモノ』
そんなタイトルを付けて書き殴った。
もちろん私以外の書き込みはない。
独善的な書き込みを沢山した。
学校への不満。
性への憧れ。
趣味、思考。
私の叫びの中にあるモノはただの汚い欲望だったのだろう。
それでも吐き散らかした。
しばらくして
返答をもらった。
「初めて書き込ませていただきます。
あなたの言っていることはもちろん納得できますが、どれも私的で理解できない点が多々あります。
一体なんでそれ程不満を蓄めてしまったのですか?」
うれしかった。
私の独善的な叫びが還ってきた。
こんな意味もないモノなのに。
意味のない人間の意味もない叫びが誰かに届いた事がうれしかった。
すかさず返答した。
思いの丈を震えながら綴った。
この初めて返事をくれた人は通称、信号さん。
時間を置いて返事を返してくれるようになった。
存在しない世界でのキャッチボール。
楽しかった。
私みたいなガキ相手に真剣にボールを投げ返してくれる。
存在しない仮想空間が現実よりも愛しく感じ始めた。体温を感じたから。
しばらくすると信号さんが提案をしてくれた。
信号さん「それはそうと貴方は毎日自由なようで自由を放棄しているように感じます。
まずは何か始めてみてはいかがですか?
その過程で悩み苦しんだ時は力になりますよ!」
何かを始める。
それはその時の私にとっては一大プロジェクトだった。
何も思いつかない。
季節は夏を迎えていた。
決めた。
「旅にでます。」
そう私は返事を返した。
思い立ったら……の勢いでリュックに最低限の荷物を詰め、ケータイを握りしめ家を飛び出した。