「終わらない浮気」-1
それから3ヶ月が過ぎた。草野家では、少し変化が生じていた。夫の健一は先月昇進し、より仕事に励むようになった。責任ある立場を任されるようになり、帰宅後はシャワーを浴びて寝るだけという、家族との会話は以前よりも減っていた。
夫婦のセックスに関しては、健一が綾子との繋がりをなんとか保とうとするのだが、仕事での疲労のせいか勃起力が弱くなり、勃起しても途中で中折れすることが多くなっていた。そうしているうち、夫婦間の肉体関係はまたしても失われていった。
綾子が近藤と関係を持っているうちは、それが刺激になり夫婦間のセックスレスが解消された。かといって、健一はこれ以上、近藤に妻を抱かせる気にはなれなかった。
普段見ていても、近藤が仕事の途中で会社を抜けたりすることはない。土日に綾子が買い物に行くことがあるが、娘も連れて行き、短時間で帰ってくる。綾子が近藤と会っている様子は、まったくなかった。
自宅の和室には、まだ盗聴器が仕掛けたままであり、健一は仕事の途中でチェックしたりするのだが、綾子が男を家に連れ込んでいる様子も無かった。
健一はどこか物足りなさを感じながらも、それ以上は綾子のことを気にすることなく、仕事のほうに専念した。そんな頃、日々の平穏を揺るがす異変は突然現れた。
その日、健一はいつもより早めに仕事を終えて帰宅した。自宅では綾子と娘がお風呂に入っている。
台所のテーブルの上に、綾子のスマートフォンが置かれているのを見た。健一はふと、それを手に取り、暗証番号の解除を試みた。普段の綾子に不審な点は何もないのだが、まさか今でも近藤と連絡をしているのだろうかと気になったからだ。
幸いにも、ロックの解除は3度目に、娘の誕生日を入力することで開くことができた。健一はさっそく、メールのやりとりの相手をチェックした。
健一も知っている幼稚園のママ友の名前が幾つかある中、近藤の名前を見つけ、すぐにタップした。やはりというか、近藤は綾子に未練があるようで、定期的にメールを送っていた。しかし、その内容を見ると、綾子のほうがキッパリと断り続けており、健一はホッと一安心した。
しかし、1つ気になる点があった。今日もメールが送られてきている人物の中で、「沖田」という名字だけの連絡先があった。健一はそれが気になり、タップした。
一気に心拍数が上がった気がした。数個あるメール文と共に、動画のサムネイルが2つあった。健一は震える指先で、1つ目の動画を再生した。
そこは、健一は全く知らない古びたアパートの部屋の中だった。おそらく20代くらいかと思われる若い男がベッドの端に座っている。真っ裸だ。髪は短髪で、金色に染めている。いかにもガラの悪そうな男だった。そいつは少し上のほうを見ながら、フゥーっと、タバコをふかしている。
驚くべきは、その股間に2人の裸の女性が跪いていることだ。2人とも健一が知る人物である。今、その男の肉棒を喉奥まで咥え込んでいるのは、娘が通っている幼稚園のママ友の中でも一番の美人であり、幼稚園で何度か見かけたことがある。
(あ、あの斉藤さんが・・、まさか・・そんな・・。相手の男は、明らかに旦那さんじゃないよな・・。浮気なんて絶対にしそうになかったのに・・嘘だろ・・)
健一は、密かに憧れていた美人ママ友の裸体に見とれていた。細身だが、胸はそこそこ大きい。おそらくDかEカップくらいはありそうだった。とにかく顔が良く、アイドルやモデルをしていると言われても違和感はない。
そこで画面の男が声をかけた。
「おい、千晴。綾子と交代しろ」
すると、それまで男の肉棒を深く咥えていた千晴が口を離し、すぐ隣で待機していた綾子とポジションを交代した。
(あ・・綾子・・。うう・・、そ・・、そんな・・。なんで・・)
綾子は豊かな胸の谷間を使い、千晴の唾液でドロドロになった肉棒を挟み、上下に動き始めた。男が思わず、気持ち良さそうな声をあげる。
1つ目の動画はそこで終わり、わずか1分にも満たない長さだった。2つの動画が送られてきた日付は今日の夕方で、撮影されたのも今日だったと分かる。男のメールで動画と共に、「今日も良かったぞ」と文面が残されていたからだ。
健一は急いで2つ目の動画を再生した。先ほどと同様、おそらく男のスマートフォンが近くに置かれており、ベッドの上の様子を撮影している。
ベッドの上で、男と女が激しく交わっている。女性は四つん這いになって男のほうに尻を向け、男の巨根で犯されていた。男は無駄な肉が付いていないボクサーのような体型で、パンパンパンと激しく腰を前後させている。
後方からの撮影で顔は見えないが、髪がショートカットなので、犯されているのは綾子だ。千晴のほうは、ロングのストレートだから違う。映されている画面の中に千晴の姿はない。
綾子は豊満なヒップに男の腰が叩きつけられるたびに、背中をのけ反らせて歓喜の声をあげている。とても無理やり犯されているようには見えない。
ベッドの上を見ると、すでに使い終わったコンドームがいくつか捨てられている。この時点で、すでに何度も交わったあとなのだろう。
2つ目のセックス動画も、1分ほどで終わっており、続きはない。
健一は他にも沖田からのメールが無いか探したが、今日のぶんのやりとりしか残されていない。おそらく綾子が毎夜、沖田とのやりとりを消去しているのだろう。
(あ、綾子・・。いったいどういう経緯で、こんな男と・・。いや・・、どうして斉藤さんの奥さんも一緒に・・。旦那さんは一流企業勤めで、すごい優しそうな人だったのに・・、なんで・・。い、いつからなんだ・・? 脅迫されているのか・・? い、いや・・。脅されているようには見えなかったぞ・・)