『beat mania UDX』より〜不夜城の仲間たち…セリカ-4
日の沈みかけた住宅街を、私はユーズと二人で歩いていた。
『……んでな、気が付いたら何故かキューピー人形を抱えて道路で寝とったんや』
「あはは!うそだぁ!」
『いや、ホンマやねんて!識の奴なんか、いつも奥さんにむっちゃ怒られとるしなぁ』
「え!?識さんて結婚してたの?」
『ああ、してるで』
ユーズは私に面白いことばかりを話してくれた。それが、私が恐いことを思い出さないように気を遣ってくれていたことも分かった。
今でこそ男の人と普通に話せるが、昔の私はすごくそういうのが苦手で、男の人となんか話せなかった。
だから、今こんなに自然に話している自分が信じられなかった。
もっとこの道が長く続けばいいのに……。そんなことを考えながら、二人で帰路に着いた。
今年から大学生になった私は、新しいマンションに一人で暮らしている。
高校に入る時に上京したので、これでも三年以上一人で暮らしているのだ。
部屋の前までつくと、ユーズが急に真顔で話し始めた。
『ええか、今日のことはきちんと親御さんには言うたほうがええで』
「いや……私一人で暮らしてるから」
『何!?高校生やのにか?』
………。どうやら勘違いされてたみたい。
確かに時々高校生に間違われることはあったよ。事実、ちょっと前までは高校生だった。
だから、ユーズに言われたのは少しショックだった。
(私…子どもっぽいのかなぁ)
『女の子の一人暮らしは……いや、けどなぁ……』
そんなことを考えながらユーズを見ると、ちょうどユーズも何かを呟きながら思案していた。
『……よし!セリカ、ケータイ貸してみ?』
私は言われる通りに携帯をユーズに差し出した。ユーズは自分の携帯を取り出して、軽く操作をしてから私の携帯に近付けた。