『beat mania UDX』より〜不夜城の仲間たち…セリカ-2
『痛っ……!離してよ!!』
識が男たちを止めようとカウンターから出ようとしたとき、一人の男が店に入ってきた。
「あの人は……」
引っ張られている腕が痛い。
私、どうなるんだろう。このままだと、どっかに連れてかれちゃうのかな……。
ただ注意しただけなのに。ちょっと講義の終わりにゲームでもしようかな、なんて思っただけなのに。
ヤダよ……恐い!
声を出そうとしても声が出ない。段々と外に引っ張られていく。その時だった、彼が現れたのは。
『誰アンタ?邪魔だからどいてくれない?』
男たちが話しかける先には、茶色いツンツン頭の一人の男の人が立っていた。
(うわぁ……凄いキズ)
彼の額には大きな切創があった。
彼は、おもむろに『デコピン』の形をした手を、私の腕を掴んでいる男の前に出して、弾いた。
ベシッッ!!
私が今まで聞いたことのないようなデコピンの音。
気が付くと、私の腕を掴んでいた男は私の腕を離して、後ろに吹っ飛んで気絶していた。
『おい、ガキども。さっさとそいつ連れて家に帰り。早うせんと……殺(バラ)すで』
男たちは青ざめた顔で、吹っ飛ばされた人を担いで速攻で帰っていった。
(よかった……助かった)
カクン。
そう思った途端、膝がガクガクと笑い始めた。
「あ、あれ……?」
ふわっと、頭に何かが乗った。見ると、さっきの男の人が私の頭を優しく撫でていた。
「あ……」
『怖かったやろ、よう頑張ったな』
男の人は軽く笑いながら、私の頭をポンポンと軽く叩く。
とっても怖くて、でも今は凄く安心できて……。