女らしく【16】『思いと想いと告白』-3
「ただいま…」
寮に戻り、真っ直ぐに大和の部屋へと向かった。
「大和…いるか?」
たった一枚の扉が隔てているだけなのに、大和の距離はかなり開いてしまった様に思える…
「ああ…」
「…話があるんだ」
「…今じゃないとダメか?」
大和の声が扉の奥から聞こえてくる。
「…ああ。今聞いてほしい…」
「此所でか?」
「いや…屋上で待ってる…だから来てほしい…」
ただこれだけを伝えただけでオレの身体は震えてしまう…
これから…もっと大切なことを伝えなきゃいけないのに…
屋上は静まり返り、当たり前だがオレ以外はいない…
ガチャッ…ギギ…
立て付けの悪い扉が軋みながら開いていった…
「大和…来てくれてありがとう…」
薄闇の中から大和が姿を見せた。
「…話っていうのは稲荷のことか?」
「…ああ…それと大和のことについても…」
すでにオレの心臓は痛いくらいに跳ね回っている…
「俺のことは気にするな…稲荷はあんな奴だけど根は悪くないから…」
大和は寂しそうにニコリと笑った。
「…俺も決心はついてる…俺は一人でも大丈夫だから…だから稲荷と…」
「違う!違うんだよ…稲荷のことは断った…オレには…」
心臓が痛い…
「オレには…他に好きな奴がいるから…」
「…誰?」
大和はここまで来ても気付いてくれない…
「そいつは…鈍感で…ちょっとボォ〜としたところもあるけど…」
逃げたい…
「…いつも優しくて…本気の時はかっこよくて…」
怖い…
けど、言うしかない。
「そいつはずっと昔からオレの隣りにいて、一緒に過ごしてきてくれた奴なんだ!」
大和は目を見開き、頬を朱色に染めた…
ようやく…気付いてくれた…
「マコト…」
大和が呟いた…
「オレは…オレはぁ!九条大和、お前のことが好きなんだ!」
続く…