おれの旅立ち。-1
車窓からの景色。
風の薫り。
MDから流れる音楽。
そんなことを覚えてる旅。一人旅。
まだ帰らない旅。
淋しい時は
人生、終始一人の旅だと思え。
自分に言い聞かせた。
人は一人で生きられないこと、旅が教えてくれる。
でもそんなに人は弱くない。
旅立ちの前に不安から体調を崩した。
明日からの事を思い描くと興奮からアドレナリンが分泌して尿意を催して夜目が醒めた。
明日から何処に行くのだろう。
この道どこまで行くのかわからないから。
過程が旅。
ゴールは旅ではない。
そう思うと一歩の重みを深く知る。
だから旅を形に残さない。
いつかそれが色褪せるから。
きっと忘れてしまうから。
忘れたくないことも忘れてしまう儚い生き物だから。
なぜだろう。
おれはずっとおれのままなのに。
いつかおれではなくなってしまう。
おれが変わりおれを忘れる。
忘れたおれは何処へ行った?
きっと忘れ去られたおれもこの旅の何処かにいるだろう。
そいつが忘れちまった夢。希望。幼さ。
人生が旅ならおれは夢を運ぶ。
そいつの為にも。
カバンの中には
夢夢夢夢夢夢夢夢夢。
たくさんの夢がたしかに有ったから。
今は沢山捨ててしまい
たった一つを見つけだしてく。
だから生きてる。
今までをリセットする旅。
今まで過去の失敗、敗北に捉われていた。
今、あるがままで十分だ。
旅立ち前の汚い部屋に少ない財布の中身。
おれは誰か?
誰でもないおれなんだ。
誰かと比べ自ら劣等感に浸るのはやめた。
今がある。
明日がある。
あきらめるのはまだ早い。だから旅に出る。
今できる精一杯がおれ。
誰も責めていないから。
何をびくびくする必要がある。
自分で自分を追い詰めるサディスティック思考はやめよう。
もうやめた。
文句をいうのも、おずおず逃げ出すのも。
現実に立ち向かう。
旅にはその答えがあるから。
そこから何かを得れば十分だ。
何を求める。
目的地は?
おれには家族も友もいる。十分満たされているはずではないか。
だから諦めない。
多くの人に感謝していくためにも。
失敗上等。
現実がおれを陥れようとしてもムダ。
おれはそんなに弱い男じゃないから。
かかってくるなら立ち向かってやる。
運命だろうが、不幸だろうが関係ない。
今を十分に生きれば何を恥じることがある。
誇りを持って生きていけばそれでいい。
他の誰でもない。
おれはおれだから。
昨日の夜決めた。
明日、目醒めたら布団を蹴り跳ばしこう言おう。
「さぁ朝だ!旅立ちだ。」と。
強くなっておれは戻ってくるから。
答えを見つけて帰るから。