第三章 キスの味(画像付)-2
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『僕、君の事がずっと好きだったんだ』
1ヶ月前にあった中学の同窓会の帰り、家まで送ってくれたかつての同級生に告白され圭子は自分の耳を疑った。
少年はスポーツ万能でクラスでも人気者であった。
勿論、女子高の圭子とは違う高校に通っている。
実は圭子も憎からず思っていたのだ。
久しぶりに会う彼は背も伸びていて、大人っぽく感じた。
ハンサムで甘いマスクは相変わらずで他の少女達も熱い視線を投げていたのに。
少年が選んだのが自分だったという事実に戸惑いながらも圭子は有頂天になってしまった。
『僕とつきあってくれないか?』
少年の問いに圭子は恥ずかしいそうに頷いた。
圭子の初恋であった。
先週、二人はデートをした。
夕暮れの公園で圭子はファーストキスを彼に捧げたのだった。
だが、初めての口付けの味は少女の予想とは違っていた。
それは幼い頃から夢見ていたレモンのような爽やかさではなかった。
軽く触れたつもりだったが、目を閉じて背伸びした圭子に重ねられた少年の唇の感触は妙にリアルな柔らかさと、甘さとは程遠い味がした。
嫌だという訳ではなかったが、少しショックを感じていたのだ。
少女から大人になる喜びと寂しさを同時に味わった気がする。
そのアンバランスな感情が圭子を翻弄する。
マモルを想う気持ちは日に日に増していきながら、精神と共に肉体にも変化をもたらしていたからだった。
マモルを想うと身体が熱くなって、夜眠れない事もしばしばあった。