第一章 幸せの風景(画像付)-4
「あら、大丈夫よ」
圭子は明るい声を出した。
「ダイエットのお茶にしては美味しいよ、
このレモンティー・・・」
「本当?どれどれ・・・」
母も一口すすると大げさな表情で言った。
「美味しいじゃない、ねぇ・・・?」
「やだ、ママったらオーバーなんだからぁ」
【フフフフ・・・】
顔を見合わせ、笑っている。
本当に仲がいい。
「ようし、今日から毎日飲んで、やせるぞぉ」
おどけて言う圭子にいじらしさを感じる晴彦だった。
スリムな身体は母親ゆずりでダイエットの必要等、二人とも無い筈なのに。
父の友人という事で気を使ってくれているのだろう。
香奈子はともかく、娘の優しい気持ちが嬉しく思える。
「でも、ちょっとガッカリだったな・・・」
「何がだい?」
「パパのお友達だから、少し期待してたの」
「ほう、そりゃどういう事?」
「だって、もっと格好いい人だと思ってた・・・
竹内のおじ様って、まるで熊みたいなんだもの」
「圭ちゃんっ」
香奈子がキッと睨むと首をすくめた。
「ごめんなさい・・・」
その仕草が可笑しくて晴彦は吹き出した。
「ハハハハッ・・・」
明るい声で笑う父と目が合うと、母に見えないようにぺロッと舌を出した。