女らしく【14】『昼と屋台と陽の祭』-5
「あ…俺はそういうの…」
「占ってくれ!」
即答だった。
「了解にゃ♪2名様ごあんにゃ〜い♪」
黒猫に案内され、テントの中へと入っていく。
「マコトって…占いとか好きだったっけ?」
もちろんオレは信じてはいない…
だけど…大和とカップルだって!
カップルだって♪
単純だと笑うがいいさ!
例えお世辞だろうが、セールストークだろうが、オレは嬉しいんだよ♪
カップルか…素晴らしい響きだ…♪
「いらっしゃい」
テントの奥では一人の女生徒が目深に帽子を被り、サングラスをかけてタロットカードを前に座っていた。
「私、ゴーゴンなの。だからサングラスはこのままでいいかしら?どうしてもと言うのなら取るけど♪」
いえ…是非そのままで…むしろ取らないで下さい…
「では占いましょう」
いきなり何の前触れもなく、カードをきり始めた。
「安心して。貴女の聞きたいことは分かってるから…恋愛でしょ?」
ズバリその通りだ。
「では…」
カードをきり終えた占い師は、おもむろにカードを並べたりして、一枚のカードを引いた。
「まずは…貴女の運勢から…正位置の運命の輪ね」
カードには水車の様なものが描かれていた。
「遠からず、貴女と貴女の想い人になんらかの転機が訪れる…それが良いものか悪いものかは貴女次第…」
さらにもう一枚カードを引いた。
「逆位置の力…」
今度はライオンと女の人が描かれたカードが上下逆さまになって出た。
「これは貴女の想い人の心中…」
「どういう意味なんですか?」
「…貴女に対してその彼はなんらかの恐れ…不安…危惧の気持ちを抱いている…」
ちらっと横目で気付かれぬ様、大和の顔を見る。
変わらない、いつもの顔だった…
「他にも占う?」
「いえ…いいです…ありがとうございました」
そう言ってケットシーにお金を渡し、占いの館を後にした。
「占いなんて当たるも八卦、当たらぬも八卦だから気にするなよ」
テントを出た途端、大和が言った。
「うん…分かってるよ。さあ、次行こう♪」
無理やり明るく振る舞って見せた。
でも…本当だとしたら…オレは嫌われてるのかな…