女らしく【14】『昼と屋台と陽の祭』-4
「えっ♪いいの?」
「はいっ!その変わり、他にお友達とかいたら宣伝して下さいね♪」
「じゃあ、買っていこうかな♪」
「はいっ!毎度あり♪列はあちらになります♪」
晴樹の口車にまんまと乗せられた二人組は列へと向かっていった。
祭の日だけじゃなくて、いつもあの調子なら晴樹もモテると思うんだけど…
「タコ4!」
慌ててタコ焼きを詰める。続いて同時進行でタコ焼きの素を鉄板に流し、それに蛸を入れていく。
ああ!もう!忙しすぎる!
昼過ぎでいいって言ったけど…ほんとはオレだって出来るだけ長い時間、大和と一緒にいたいのに…
しかし、そんな考えはズラッと並ぶ列を見ると無理だとすぐに分かる…
「タコ3!」
こうなりゃ、熱々のタコ焼きを焼いて焼いて焼きまくって、一刻も早く大和とアツアツな時間を過ごしてやるっ!!
「疲れたぁ…」
ピークも過ぎ、今は午後2時。客足も少なくなっている。
「みんなお疲れ様!後は僕、撫子さん、奏、稲荷の四人で大丈夫だから」
やっと、大和と遊びに行ける♪
「じゃあ、お言葉に甘えて、大和行こうぜ♪」
貴重な時間も無駄にしないためにもさっさと大和の手を引いて、連れ出した。
「面白いな♪」
「ああ!」
流石、魑魅魍魎の祭…
雪女のかき氷屋とか、透明人間の大道芸とか、普通じゃないものが多々ある。
「そこのお二人さん♪」
不意に背後から声をかけられ振り返った。が、誰もいない…
「此所にゃ!下、下!」
視線を下げるとそこには猫がいた。
ただ、長靴を履いて、人語を喋り、二足歩行する黒猫だが…
「此所にゃ!全く、何処見てるにゃ!僕は池野め○かじゃないにゃ!」
どうやらこの黒猫、新喜劇も嗜んでいる様だ。
「ケットシーか?」
「如何にも!」
ケットシー…簡単に言えば化け猫、猫又の海外版。
「お二人はカップルとお見受けしたにゃ♪今、この占いの館ではカップル割引サービス中にゃ!どうにゃ?未来を見たくにゃいかにゃ?」
黒猫は不敵に笑った。