女らしく【14】『昼と屋台と陽の祭』-3
「…とにかく、今日は楽しんでってくれよ!ちょっと見た目凄い奴もいるけど悪い奴はいねえし、万が一危なくなったらオレ達の屋台に来い♪」
「うん、心配しないで♪私って人見知りとかしないし、さっきから見てると美形の妖怪とか結構いるしね♪」
確かに柔軟な思考の持ち主の夢なら何でも受け入れそうだな…
「今時はヒトとヒトの恋愛も、同性同士の恋愛も古いのですよ!時代は異種族!…と言うわけで誰かカッコいい妖怪を紹介して下さい!」
分かった、分かった…適当なのを紹介してやるよ…
「マコト、そろそろ始まるぞ」
「やべっ…夢じゃまた後でな♪」
「うん♪タコ焼きも、お好み焼きも、焼きソバもカッコいい男も楽しみにしてるからね♪」
苦笑いするしかないオレと大和だった…
「いい?年に一度のこの祭を死に物狂いで頑張るのよ!」
開店直前。
副店長の撫子さんが士気を高める。
晴樹以外のメンバーも自然と盛り上がってきた。
「カウントダウン入りま〜す♪さん…」
周りのライバル店からも熱気が溢れている。
「に〜…」
熱した鉄板も今か今かと待っている。
「いち…」
さあ、やるか!
「ぜろ!開店っ!」
午前10時、百鬼夜行祭が始まった。
「晴樹!ブタ2、姉貴!ソバ1」
大和の声で晴樹の前のお好み焼き(ブタ玉)がソースや青海苔などの彩りを与えられ、パックに納められる。
同様に撫子さんの前にある焼きソバもパックに詰められた。
「上がったよ!」
「次、マコト!タコ2」
待ってました!
手早くタコ焼きを詰め、大和に手渡す。
開店開始から昼時に向かうにつれ、客足は途絶えるどころか、今や店先には長蛇の列がうねっている。
「美味しそうね♪」
鉄板の向かいから女子大生くらいのヒト(?)が二人見ていた。
「美味しそうじゃなくて、美味しいですよ♪それにお姉さん達、お綺麗ですからサービスしますよ♪」
普段なら有り得ないセールストークも炸裂し、絶好調の晴樹。