第十四章 手作りランチ-3
「いやだぁ・・・」
そらさんは案の定、恥ずかしそうな声を上げた。
喧噪がダイニングにコダマする。
内容が内容だけに黙って聞いてられず、口々に言葉が飛び交い始めた。
前回のプレイの興奮が、みんなの頭に浮かんでいるのだろう。
中々、話し声は終わらなかった。
「でも、少し・・違うのです・・・」
低い声が意外な言葉をなぞると、静かになった。
「若槻さん夫妻だけ・・・違うのです・・・
何だと思いますか・・・?」
謎解きをする探偵のように、私達に問いかけている。
「それは・・・」
ためる口調が、じれったく感じた。
「お二人同士でのセックスが、それだけが・・・
できなかったのです・・・」
【あっー・・・?】
新藤さんと秋生さんが声を合わせた。
「なるほど、そういえば・・・」
言いかけて、桜さんが顔を赤らめた。
あまりにも不条理だと思ったのかもしれない。
それは、藤本さんの説明で明らかになる。
「かおりも・・・桜さん、そらさんも・・・
二人の男に犯された後・・・」
低い声が淫靡なシーンを回想させる。
「夫以外のザーメンを体内に残したまま・・・」
誰かの喉が鳴るのが聞こえた。
「夫に、抱かれたのです・・・」