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GLADATOR
【歴史 その他小説】

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GLADATOR-1

―大ローマ帝国―
古代よりローマでは政治的権力の誇示や有力者の民衆への支持集め、国家の様々な問題から市民の目をそらすために数々の娯楽が催された。
その最大の催したる物が、闘技場での剣闘士による死闘である。
急所を露にした鎧、視界を狭くした強固な兜、そして己の命を象徴した刀剣で武装した彼等は自由を勝ち取るため戦い続けた…。


「じゃあその値段でいいか?」
「はい、満足でございます」
ローマ帝国属州ガリア、この地で最大規模の広さを誇る奴隷市場で二人の男が交渉していた。
「いいか、なるべく生きがいいのを頼む。もうすぐ大会が近い」
「は、はい、かしこまりました。またよろしくお願いします。…よしお前ら!馬車の準備だ!」
数十人の奴隷達が鎖に繋がれ並べさせられる、皆成人し体格もがっちりした男達ばかりだ。彼等を買い取った男が話かける。
「私はケリウス!今日からお前らは私の所有物だ!私がお前らを買った理由は農園やら鉱山でお前らを労働させるためじゃない!お前らの命で儲ける事だ!自分達が何をさせられるのかはいずれわかる!さっさと馬車に乗れ!」
奴隷達が押し込まれると馬車はゆっくり動きだした…。


『ギィ〜〜ガシャン!』門が閉まる音がした、どうやら着いたようだ。
「ほら着いたぞさっさと降りろ!一体何人だ!?」
周りを見る、ここにいる奴等は皆奴隷のようだ。「ようしついて来いこっちだ!」
先頭の奴が導かれ歩き出す、それにつられ鎖で繋がれている俺達も歩き出した。
妙な建物だ、とても奴隷の労働場所には見えないそれにこの妙な臭い…。最初に建物に入った時に鎖は外されていた、そしていくつかのゲートを抜けて自分が導かれているほうへ歩く。しばらくすると前に鉄門が見えてきた。側にいた男が立上がり鍵を外して門を開ける、そして       「ようこそこの世の果てへ」
そう一言言った、男はそれだけ言うと早く行けと顎をしゃくった。
門をくぐるとそこはまるで別世界のようだった。行く道擦れ違う奴等が剣やら鎧やらで武装している、中には血を流す奴、気絶していて引きずられる奴、俺は神が見定めた自分の運命がようやく読めた。


ここに来てからずっと一緒だった奴等と一列に並べさせられる。手には各々与えられた武器を持っている、だが鎧や兜などの防具は一切無しだ。
ここは恐らく控え室だろう、今はまだ別の奴等が戦っていて俺達は出番待ちだ。その俺達にケリウスが話し掛ける。
「ここがどこかわかるだろう…、この世の果てだ。ここがまさにお前らがあの世に旅立つ前に、お前らが最期にこの世に足跡を残す場所。
人はいずれ死ぬ、遅いか早いかだけだ。だがお前らにとって重要なのはそこじゃない…、いずれ必ず死ぬお前らにとって大事なのは、いつ死ぬのではなく、どんな死に方をするかだ。華々しく死ねば剣闘士としての、名が遺る…。」
ケリウスの言葉に皆耳を傾ける、聞き終えると全員の表情が変わった。
「聞け…、お前らが最期に耳にする声だ…」
アリーナの歓声が小さくはあるがこっちまで聞こえてくる…。
『殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!ワァーーーーッ!!』
どうやら終わったようだ。
「よ〜し次の奴等準備しろー!!武器は一人につき一つだけだぞー!!」入場門の前で待機される、横にはさっきまで戦っていた奴等だ、今じゃもう肉の塊だが。
奴等を葬った剣闘士達が外で雄叫びをあげているのが聞こえる、それが聞こえると少し身震いした。自然と恐怖はあまり無い、これから起こることは想像できたが…。


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