第九章 高級別荘-2
「フフッ・・・」
その表情を思い出して、僕も笑ってしまった。
「楽しそうですねぇ・・・?」
藤本さんの口調が、からかうように感じたのは気のせいだろうか。
「当然ですよぉ・・・」
僕は恥ずかしさを隠すために、わざと大きな声を出した。
「美味しい手作りランチの後、
こんな豪華な浴槽で入浴できるなんて・・・」
「まるで、夢のようですね・・・?」
藤本さんが言葉を続けると、二人でクスッと笑った。
「知人の紹介で予約できたのですが、先ほども言いましたが滅多に借りられる施設ではないらしい・・・各国のVIPを接待する施設だそうです」
「なるほどぉ・・・でも、大丈夫なんですか?」
僕は恐る恐る聞いた。
「お支払いした会費じゃ、
とても足りないんじゃ・・・」
「大丈夫ですよ・・・
通常の値段よりは安く借りられましたらから。
まあ少しは私の方で足させていただきましたが」
少しと言っても、かなりの金額だろう。
さすが開業医、お金持ちなのは分かってはいたけど。
「私は嬉しくて、興奮しているんですよ・・・」
藤本さんの目が輝いたように見えた。
「こんな素敵なパートナー達と知り合え、
時間を共にすることができるなんて。
望んでかなうものではない・・・
世界で一番、幸せなんですよ」