第三章 繰り返す過ち-1
第三章 繰り返す過ち
扉が閉まった後、私はうなだれたまま暗い廊下に佇んでいた。
独身時代から繰り返される、些細な喧嘩。
みんな、私が悪い。
つまらない一言が、圭君を傷つける。
学習能力が無い私は、なんてバカなんだろう。
夫を送った後の気まずい感情を持て余すのは、これで何度目だろうか。
自分を責める私の声が、心にエコーで響いていく。
大好きな癖に、へたくそな自分の愛情表現が、ホトホト嫌になる。
出張に旅立つ夫にわだかまりを作ったままのこの状態が、私を不安に駆り立てる。
何かの小説で読んだけど、別れ際に喧嘩した後に死別する話が思い出される。
ジワッと、目尻に涙がたまる。
イヤダ、イヤダ・・・。
私は飛んで行って、圭君にすがりつきたくなった。
こんなに好きなのに。
下手くそな私の愛情表現が、圭君には届いていない。
今朝の会話を思い出して、私は自分を責めるしかなかった。
本当に不器用な私に対して。