IN LOVE AGAIN-1
あたしはホテルのバスルームの鏡に向かって、最後のチェックをした。
バスローブを羽織ったあたしが映る。
−大丈夫、後悔なんてしない。あたしはもう、あの頃のあたしじゃない−
意を決して、バスルームを出た。
部屋であたしを待っているのは、元カレ。
もう、棄てられて泣いたあたしはいない……
あたしは、鎌田夏海。19歳、大学生。
元カレの名前は、市川雅文。あたしと同い年。
あたし達は、高校の時に付き合っていた。
……いや、付き合っていただなんて言えないかもしれない。
ほんの三ヵ月、「彼女」と呼んでくれていただけだ。高校一年の夏、付き合って、と言われ有頂天になっていた。
初めての彼氏……
好きだった雅文の言うことを聞き、求められるまま、身体を差し出した。
フラれた理由は、一言。
「飽きた」
彼に従順だったあたしだったから、それはそうなるだろうと今なら分かる。
でも、あの頃はそれを受け入れることが出来なかった。
泣き悲しみもがき、高校生活を過ごした。
そんな時間があったから、今のあたしが出来たのだ。毎日、顔を合わせなければいけなかった高校を卒業すると、あたしの悲しみは薄れていった。
大学生活は楽しい。
色んな人と知り合え、世界が広がって行く。
また、誰かを好きになれるかもしれない…
そう考えることが出来るようになった時、雅文に再会した。
部屋に戻ると、先にシャワーを浴びていた雅文がベットに寝転んでいた。
「お、浴びてきたか?」
「うん」
「こっち来いよ」
ベットに向かうと、いきなり腕を引っ張られ、押し倒された。
「ちょっと……やだ」
「やだって、お前がついて来たんだろ。久々じゃん、お前とやるの」
そう言うと、キスをしてくる。
……あぁ、雅文のキスだ。そう思うと、胸が軋んだ。嬉しいような、悲しいような……
キスをしてるうちに、お互い興奮してきた。
荒々しく、バスローブを脱がせる雅文の手。
彼は既にトランクス一枚だったので、勃っているのが分かった。
彼と別れてから、あたしは誰ともセックスしていなかった。
16歳の夏が蘇る。
胸を揉まれ、その頂きを指で挟みこねられる。
「んっ…」
思わず出た声に、雅文は気を良くしたらしい。乳首を口に含み、舌で転がしてきた。
内股に、硬くなったものを押し付けられる。
16歳の頃、あたし達は初めて同士だった。
初めての快楽に溺れ、期間は短かったにしても、何度も何度も抱き合った。
雅文の手が、パンティにかかる。
ムードも何もなく、あっさりと脱がせると、あたしの脚を大きく広げた。
「あっ…!やだっ」
「濡れてるじゃん…」
ちゅぷっと音をたてて、指があたしの中に入ってきた。
「んんっ…あっ…」
自然と喘ぎ声が出る。
指の動きは更に激しくなった。
「ああっ…!!あっあんんっ…」
興奮に身体が突き上げられる。
止まらない。止めようとしても、ムリだった。
「たまんねぇや、入れるよ…」
雅文の指が抜かれ、熱くなったものが押し広げて入ってくる。
「あぁんっ!!」
痺れるような微かな痛みと快感。
久しぶりの快感に、我を失いそうになる。
−このままじゃ……
突きが更に早くなった。
淫靡な音も、大きくなる。我知らず、締め付けてしまっていた。
放したくない、と身体が言っている。
「あっあっああっ…いい…いいのぉ……」
「はぁっ…俺も気持ち良い…」
このまま、ずっとこの快楽が続けばいいのに−
身体が、痙攣しようとしているのが、分かった。
あたしの中の彼のも、びくんと大きくなる。
「ああっ…!!」
あたし達は、同時に達した。