第五章 鬼ごっこ-2
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「さっ・・洗い物、終了・・・どうする?」
食事の後片付けが終わり、僕が手を拭きながら聞いた。
「どうする・・のぉ・・・?」
上目遣いで聞き返す表情が超、可愛いと思った。
ドクンと、心臓が高鳴る。
静まったはずの欲情に火がついた瞬間だった。
「当たり前だろ・・・」
少し貯め気味の僕の言い方に、映見は嬉しそうに肩をすくめた。
そして。
「キャッー・・・」
逃げだした妻を、僕は軽い足取りで追いかけた。
「んんん・・んんっ・・・」
ソファーで捕まえた途端、始まる激しいキス。
「んふぅ・・・ふふっ・・」
映見も時々笑いをこぼしながらも、舌を絡めてくる。
背中に廻した細い両腕で、ギュッと抱きしめられる快感が僕も嬉しかった。
キスの最中、チラリと視界にテレビの画面が入った。
さっきの6Pシーンが静止画で映ったままになっている。
(そうか・・消すの、わすれていたんだ・・・)
改めて僕は自分の、そして妻の興奮の強さを実感した。
あれほど激しいセックスを二度もしたのに、まだ欲情の火は消えていない。
それどころか益々燃え上がるようで、今も互いの唇を貪っているではないか。
「あふぅっ・・・んっ・・裕君・・・」
映見の甘い囁きが嬉しい。
互いの唾液を柔らかい舌と共に味わいつくしている。
ガタンと、テーブルに足をぶつけた。
鈍い痛みを無視してキスを続けていたが、ブザー音に唇を放した。
音の方向にはテレビがあり、二人は抱き合いながら視線を向けた。
画面は暗転し、真っ黒いまま暫く動かなかった。
突然、白いインジケーターが現れ、カウントダウンが始まった。
【えっ・・・・?】
現れた映像に僕と映見は同時に声をだした。
そのまま、氷ついたように画面を見続けるのだった。