第一章 待ち合わせ-1
第一章 待ち合わせ
腕時計を見ながら、僕は走っていた。
妻との待ち合わせまで、あと五分。
僕から誘った待ち合わせ。
今日は記念日だから。
妻は、何の記念日か知らないみたい。
十年目の記念日は僕にとって、とても大切な日なんだ。
驚くかな?
たぶん、呆れるだろうね。
でもでも・・・。
僕にとっては、もの凄く重要な日なんだ。
僕が大好きな人。
大きな、大きな女の子に告白した。
そう、初めて妻に。
由美に、告白した日なんだ。
僕は今、あの頃を。
くすぐったく思い出していた。