⑪恥ずかしい映像-1
タオルに包まれたものを持って部屋に戻ってくる。
「タオルを開いて見せて下さい。」
恥かしそうに真っ黒な剥き身をさらす。
標準サイズの二股バイブだ。
「そうですよね。
最初からビッグサイズ（ダブルモーター）なんて買うはずないですよね。
この黒いのがお気に入りなんですね。
よく使うんですか？」
眉を八の字に歪めて羞恥に困惑する広瀬アリスが可愛い。
さらに追い打ちをかける。
「気持よかったんですか？」
「知りません。使った事ないんです。」
白々しい答えに笑いながらバイブの匂いを嗅ぐ。
「清香さんの厭らしい臭いがしますよ。」
「そんな筈ないわ。
いつもきれいに洗っているもの。」
「いつもですか？ふ～ん、いつもね。」
「あっ、いつもじゃ無いわ。一度だけよ。」
スマホの録画を確認する。
「うん。バイブを握った清香さんがバッチリ映ってる。
正直に言わないとこの映像人に見せちゃうぞ。」
「えっ、撮ってたの。
すぐに消しなさい。」
「やだよ。タオルを取ってバイブを握りしめてる瞬間がたまらないよ。
ほれ、見てごらん。」
「消しなさい。すぐに消しなさい。・・・・・・・お願い消して下さい。」
「消すのは嫌だよ。
清香さんが恥かしそうにバイブを握っているなんて最高のシチュエーションだよ。
最初会った時の清楚な新妻のイメージとは凄いギャップなんだ。
みんな驚くと思うよ。」
「解ったわよ。
正直に言うから動画消してね。」
「それは駄目だ。
でも正直に話してくれたら他人には見せないって約束するよ。」
「本当はそれ使ったのは一度だけじゃないんです。」
「そんな事は分かっているよ。
どれくらいの頻度で使ってるんだ？」
「正直に言うわ。本当は毎週使ってます。」
「ほう。毎週使うって事は気持ちいいんだ。
で、逝ったのか？」
「そっ、それは・・・・・。
そっ、そんな事言えません。」
「答えないなら旦那に見せるよ。
気持ちよかったか？って聞いているんだ。」
真っ赤になって頷く。
「そんなに気持ちいいんだったら毎日使いたくなるんじゃないの?」
「そっそんなに淫乱じゃありません。」
「淫乱でしょ?だってもっと気持ちよくなりたくて新しくあれ買ったんでしょ?」
「知らない。
でも学生さんがこんなことしちゃいけないわ。」
「こんなことって?」
「人妻を脅したり脅迫したりする事よ。」
一度も脅迫はしていないがそれなりの圧を受けている証拠だ。
柴田にとって清香は３人目のターゲットだ。
元美やひかるから脅される側の心理状態も聞いていた。
そこで学んだ事もあった。
二人共夫婦円満で幸せな生活を送っていた。
その幸せな家庭が壊されるのを恐れたのだ。
家庭崩壊より一度だけ抱かれる方を選んだということだ。
清香に対して恥ずかしい盗撮動画を脅しに使わない所以だ。
そんなことをすれば夫婦間に溝ができ不和になり幸せな家庭でなくなるからだ。
「ごめん。清香さんを脅すつもりはないんだ」
「じゃ、その映像消してくれるわね。」
「やだよ。清純にさえ見える新妻清香さんが愛用のバイブを握っている映像だよ。
僕の宝物さ。」
「恥かしい映像を持たれていること自体が恐怖だわ。
脅すつもりがないなら消して安心させてよ。」
「ふ～ん脅すつもりがないないなら消さなきゃいけないんだ。
じゃ脅せばいいんだ。」
「そういう意味じゃないでしょ。
すぐに消しなさい。」
「ちょっと脅してみるね。
『おい清香。バイブ２本とも僕に預けるんだ。
嫌だと言うなら覚悟しとけよ。』」
隣室から未開封のデカバイブを持って来て手渡す。