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チュー、したい!
【コメディ 恋愛小説】

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第二章 背の低い男の子は嫌いですか?-3

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(それがねぇ・・・)
中三になった今も、同じクレスメイトのバカを見ながら呟いた。

アイツ、成績は学年で10番以内なんだ。
それもバスケ部のキャプテン。

結構、モテるみたい。
でも、意外とオクテで彼女はいない。

好きな女子は知っている。
私ではない。

背の低い、可愛い子だ。
別にヤツは、好みではない。

足、短いし・・・。
それよりも。

一緒に下敷き卓球している西島に、私の目はくぎ付けだ。
小さくて、可愛い。

ずっと、私の胸はキュンキュンしてる。
そう、私はヤツが好きだ。

西島 清志。
眉毛が濃くて、サル顔。

でも、両目のまつ毛は長い。
切れ長の瞳がクッキリして、女の子みたいだ。

時代劇に出てくる、イケメンスターに似ている。
西島に恋してから、毎週、見るようになった。

可愛い、私のアイドル。

好きになったキッカケは。
ある日の体育館。

背の高い私は、当然、バレー部で。
あっ・・・言い忘れたけど、私の名前は吉川由美。

その頃から身長は170p近くあった。
だから、普通の男子には恋愛対象外。

いつも吉川さんと、敬語で呼ばれる始末。
今でこそ、モデルみたいだと言われる時もあるけど。

中学生の男子は、やはり。
小さな女の子が好みなのだ。

私だって、自分よりも背の高い男子には憧れた。
「お姫様抱っこ」なんて夢見たりして。

でも、所詮は無理。
中学生で180p以上の男子なんて。

青木ぐらい。
同じバレー部のキャプテン。

イケメンでモテモテだ。
でも、タイプではない。

私は西島が好き。
だって、可愛いんだ、アイツ。

身長152p。
それも身体測定で背伸びしていたらしい。

それと。
前置きが長くなったけど。

あの日の体育館で。
練習していたら。

弾んだボールが二階の卓球部のエリアに。
とりに行った私が目にしたものは。

壮絶なラリー。
緑の台の上を、白いピンポン玉が高速で往復していた。

間近で見る、初めての卓球シーンだった。
ネットすれすれの打球が台の端を通ったかと思うと、赤いラバーが弾き返す。

見た目に決まったと思った瞬間、逆方向に打ち返している。
何回も続いた後、大きい方の男の脇をボールがすり抜けた。

「チックショー・・・」
悔しそうに顔をのけぞらしているのは、同じクラスの赤石だった。

「サッー・・・」
右手の握りこぶしで声をだしていたのが、西島だ。

短いスポーツカットの黒髪の付け根から大量の汗が流れ、キラキラ光っていた。
濃い眉毛とサル顔が、いつも見ている印象とまるで違って。

「か、かっこいい・・・」
私は思わず呟いていた。

それ以来。
私は小さな男の子が好きになった。

それが、私の理由1。
理由2は次のお話で。

じゃあね。


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