愛した人へ-1
君と別れたのは、今から1年半前。
寒い冬が終わり、春になろうとしていた。
『好きな人が出来たから、もう付き合っていかれへん』
突然の私の一言に、君は驚いていたね…
何でなん?
突然やな
誰?
そんな言葉が、電話越しに聞こえてきた。
君の疑問に、答える事なんかできない。
だって…
全て嘘だったから
君を嫌いになった訳じゃない。
君の事を愛してたよ
君との結婚まで、後半年だったのにね…
私は逃げた。
君からも
...現実からも
私には、君に隠してる事が3つあった。
1つは、片耳が聞こえない事。
2つめは、流産した事。
3つめは…
病気の事
君と別れる1ヶ月前。
医者に宣告された。
将来。
視力を失うと...
ベーチェット病
眼が見えなくなってしまう。
治療法はなくて、いつ失明するか解らない病気。
そんな自分が、大好きな君と結婚するなんて…
無理だって思った。