22)鳥的接吻-2
取材場所の変更は、『みさき』にも関係するので、彼女にもゆうこから「 浜辺ではなく、この家に来てほしい 」と電話を入れた。みさきは起きていて、本人が電話に出たから話も早かった。
そして食後。片付けは さな に頼み、急いで支度を終えて、迎えに来てくれた組合長の原付バイクに2人乗りして港へ向かったのだった。
( この島の道路は、道路交通法の範囲外なので、違反にはならない )
港への道中、組合長さんから聞かれるままに、昨夜の事はだいたい(さなに関する事以外は)正直に話した。
でも港に着いたら、その事が急に恥ずかしくなって、急いで船のタラップを上がった。垂れてきたのはそのせいだったのかも…
そして今。
船はもう直ぐ本土に着く。
「 先生にだけは全部隠さずに言ってしまおうか… 」
自分の心に、「 自慢したい 」気持ちが無いと言えば嘘になる…
船はそろそろ、港に入ろうとしていた。
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ゆうこが出掛けてから、雄一は、家の中で さな と2人きりになっていた。
ゆうこが今日、通院のために本土に行く、という事は、昨夜の食事の時に聞かされていたが、出発が思ったよりも早い事は、組合長さんからの電話で起こされてからの、ゆうこの急ぎ方で初めて知った。
でも、そんな時だからこそ、自分の頭の中も変化する。
「 それなら今日は、この家で、さなの裸をじっくりと撮影した方が良いんじゃないか… 」
朝食中に急に閃いて、ゆうこに告げる。
すると、また、みさきの事も思い出す。彼女にもここにきてもらわないといけない。
そして、その事も告げると、ゆうこは直ぐに電話を架けて話をつけてくれた。
正直、みさきをここに呼ぶ事に、ゆうこがどう反応するのか気にはなったが、意外にもあっさりと、当たり前の様に受け取ってくれた。
実は、普段からよく遊びに来ているらしい。だから、ゆうこにとっても、みさきにとっても、ある程度はいつも通りの事の様だ。
(ゆうこが、みさきへの取材を、どの程度の内容で想像しているのかは不明だが…)
雄一としては、さなの取材… というか撮影を、みさきに邪魔されたくはなかったので、本音を言うと『 場所の変更 → みさきはキャンセル 』 したかったのだが、ゆうこの手前、そういう訳にはいかなかった。
雄一は、ご飯とみそ汁と魚の朝食を頂いたが、さなは取材前を意識して、バナナ1本とミルク1杯だけだ。お腹が出てはいけないと思っているらしい。
みさきが来る時間は『 午前中 』という事で、何時頃かは分からなかった。だが、そう考えると、彼女が来た時に、さなのどんな格好を撮影しているのかを考える必要が、むしろ無くなった。
いつ来るか分からない相手に合わせて、撮影内容を考える事には無理がある。だから雄一は思った通りに撮って、みさきがここに来た時に何を見るのかは、こちらの責任ではないし、それを見て、驚いて帰ってくれたら、むしろ都合がよい。
やがて、ゆうこは、迎えに来た組合長さんの原付スクーターの後ろに乗って出掛けて行った。
昨日の ムームー では無く、半袖の白いブラウスに紺の膝丈のスカートを着けている。顔は(ほぼ)ノーメークだが、前髪でおでこが隠れたナチュラルな髪形は、やはりアラサーにしか見えず、その前提でもなかなかの美人である。
「 つい数時間前まで、オレはこの女性とナマでセックスをしていたんだ… 」
ゆったりしたブラウスでも、胸の膨らみは隠しきれていない。
「 オレの腰の上で、あの顔を歪ませて、硬直しながら痙攣していたんだ。 あの突き出た大きな胸を、オレの手がつかんでいたんだ。 この美人の中に、オレはナマで出したんだ… 」
物すごい勝利の感覚。しかも、それは昨夜だけでは終わらないだろう。
今夜も、明日の夜も、毎晩の様に勝ち続ける事が決まっているのだ。
出発前に、組合長さんが、雄一の耳元で、
「 すごく頑張ったみたいね。 ゆうこの顔見たら分かるよ。 今夜もよろしくね 」
と囁いたので、お見通しなのが分かったが、おかげで、ますます堂々とセックスが出来る事も確信する。
何しろ、組合長さん公認なのだから。
雄一は、さなと一緒に家の前に出て、走り去っていく原付スクーターを見送りながら、勃起が静まらなかった。
さな自身は、昨夜の事が組合長さんにどの程度バレてると思っているのだろうか。さなが隣の布団にいた事は想像しているだろう。この家には1部屋しかないのだから。
でも、さな自身は、そこまでは気が回っていないようだった。案外ふつうに組合長さんと挨拶をしていたのだから…
ふと、隣に立っているさなを見ると、まだスクーターの方を見つめている。
服装は、昨夜の汗びっしょりの着物とは別の、海女衣装の着物を着ていて、その下には何も着けていない。
もう、いつでも(取材という建前の)撮影をする準備は出来ている様だ。
そして、雄一は、さなに、
「 じゃあ、早速、朝の取材を始めようか… 今日は、もっとさなの事を知りたいから、家の中でするね 」
と言いながら、家に入ったのだった…