第四十章 二人のエピローグ2-1
第四十章 二人のエピローグ2
青空に白いシャツがヒラヒラとなびいている。
妻の背中と、うなじが見える。
(きれいだ・・・)
素直な想いが心に浮かぶ。
あの日以来、映見は心のつかえが下りたように、明るく爽やかな笑顔を見せるようになった。
よほど、悩んでいたのだろう。
そう思ったとたん、僕は苦笑した。
当り前じゃないか。
レイプされたんだぞ。
見知らぬチンピラ達にだ。
しかも、不条理にも感じてしまったのだ。
普通なら、人格破壊してしまうところだ。
全ては僕のせいなんだ。
風俗雑誌の情報をあてに、同伴喫茶に連れ込んだのは僕だ。
偶然、隣り合った藤本夫妻に初めてスワッピングを教えられた。
その非常識な体験が、レイプされても感じてしまうことになったに違いない。
以前の僕なら気が狂うほど悩んだだろう。
愛する妻がやくざのような男達に蹂躙され、オモチャにされたのだ。
もしかしたら、探し出して殺していたかもしれない。
幸い、スワッピングパートナーである椎名夫妻が元暴走族の総長だったこともあり、チンピラ達は地元のヤンキー連がボコボコに制裁を加えてくれたらしい。
つけまとわられる恐怖もあるが、天罰が下ったようで気分は悪くはない。
映見も心からホッとしたようだ。