第四十章 二人のエピローグ2-2
そして、「上書き」。
藤本さんが映見に言ったそうだ。
消せない過去なら「上書き」すればいいと。
又、こうも言った。
セックスはスポーツのようなものと、考えてみてはと。
一生に一人のセックスも貴重な愛である。
だが、それに縛られて退屈な人生や冷めた愛を引きずるのなら。
隠れて浮気するのではない。
夫婦交換、スワッピングをするのも一つの愛のカタチではないかと。
セックスがスポーツなら。
スワッピングは「対外試合」だろうか。
様々な人と交わり、テクニックも磨く。
なにより、互いを嫉妬するくらいに愛するようになるんだ。
僕と映見はある一線を越えたのかもしれない。
藤本夫妻のレベルにはまだ遠いけど。
お互いを尊重し、官能に震える姿を興奮しながらも、追い求めることができる気がする。
新藤さんや秋生に犯される映見を見続け、少しはそう、感じることができたんだ。
だから。
あの日以来、セックスは僕の人生の中で最も充実したものになった。
激しい営みのあと。
二人抱き合いながら、夢の中を漂う。
毎日。
毎晩。
愛し合う視線は絡み合い。
ほどけることなく、熱く見つめ合う。
愛している。
何度も心の中で、囁きで、叫びで、伝える。