旅。-1
宇宙の変化。
誕生。消滅。ビックバン。変化は絶えない。
誰かと比べて勝ち負けたとか、誰それよりも劣っているだとか、そんなものに縛られている限り自分の道は見えてこない。
明日は今日の連続。
私は何かをずっと待っていた。
きっと来る。
何かを。
受け入れない限り
変化に気付かずに時を浪費してしまう。
身近な足元に転がっているような変化を。
今までの大切なモノを途中の道ばたやわき道にたくさん落としてしまった。
いらなくなって捨てて後で後悔しても、手元にそれはもう還ってこないから。
まだまだ私の前に伸びてゆく道は遠く、しかも暗い。行灯もなく肉眼では捉えきれないたくさんの事象。
恐れ、不安、迷い、苛立ち。
時を旅している過程で私は迷い子になってしまった。握り締めていた地図も慣習という生温い風に飛ばされていった。
生まれながらに持っていた地図を探しに旅に出る。 いや地図に印されたゴールを目指す旅なのか。
おぼろ気に目的を覚えているにすぎなかった。
地図のない旅の目的地は知らない。
感じることができればどんなにか楽だろうと思った。迷子の私は恐れを知った。先行き不透明な居心地の悪さ。
孤独。
弱き者がどう抗っても成り行きは変えられないかもしれない。
恐れない者、受け入れられる者にのみ道は開けるというのに。
その覚悟が私にはまるでなかった。
過去は廃棄され
まるで博物館の陳列のように内なる声を発するだけ。例えその声に導かれて行っても求める道ではない気がする。
道は二手に分かれた。
どちらに進んだとしても後悔するだろう。
分かれ道の連続。
最初は重なる道でもその岐路にての決断でその平行線は角度を持つようになった。
赤か白か。
右か左か。
YESかNOか。
随分と遠くまで歩いてきたものだ。
最初は慣れなかった此処の香りも今ではそれを感じなくなった。
嗅覚の麻痺。
生活のパターン化。
何も見つからないまま元来た道も忘れてしまった。
神の啓示を求めても返答はない。
流行に流れても悟りはない。
無いものずくめで日々は転がる。
加速して。
またしばらくすると此処も忘れてしまうのかな。
と少し悲しくもなった。
いつかは何のために旅するのかも忘れゆくかもしれない。
しかし、
立ち止まれない。
狂気と熱情を胸に抱きながら。
時よりすれ違う人もどことなく哀愁を感じる。
エールを彼らに心の中で贈りながらも言葉は交わさない。