旅。-2
やがて道は険しくなった。
選択肢も少なくなった。 なにかしらの答えが欲しくなった。
欲しくなったというが答えは誰かから与えられるものではなかった。
自分でつくる答え。
煩悩に縛られ本能に操られ中身のない器で旅をする私が見つけられるだろうか?
旅の終わりは帰郷することだ。
原点への帰還。
今まで諦めたものや
流した涙を思いだしながら。
ふと意識を戻すと庭に咲いていた花の香りがした。
芳しいあの夏に咲いていた花。
望郷の思いが過る。
押しつぶされそうになる。
何のために此処まで来たのか?
意味を持たない旅。
戻れない旅。
靴擦れを起こした事を気付かないふりをしていたのもこの思いや痛みに負けたくなかったから。
歯を食いしばる。
地図はもういらない。
行き先もない果てしない道で何かを探そう。
まだ残されている何かを。私を待っている何かを。