第三十九章 二人のエピローグ1-1
第三十九章 二人のエピローグ1
パンッと、小気味よい音が耳に響いた。
私はハミングをしながら、シャツを洗濯バサミにかけ、皺をのばしていく。
うなじに涼しい風がかすめる。
くすぐったい笑みを浮かべ振り向くと、ベランダの窓越しに祐君が見えた。
ソファーに座り、スマホをいじっていた祐君も私の視線に気づいたのか、顔をあげた。
こぼれた白い歯が、何故か心にしみる。
(大好き・・・)
心の中での呟きは、無限のように繰り返されていた。
そう、あの日から。
激しい体験は、二人をまるで別人のように変えていた。
初めてスワッピングを経験した時以上の興奮があった。
(でも・・・)
私は思う。
上書きされた不条理な記憶は、祐君と私の愛を大きく育ててくれたような気がする。
(昨日も・・・)
そう、昨夜もあの日のセックスを思い出しながら、熱く燃えた。
だけど、初めての時のように疑似スワッピングではない。
『映見・・愛しているよ・・・』
囁く祐君の息がくすぐったく、嬉しかった。
『祐君・・・私も・・大すき・・・』
私も祐君の背中をギュッとしながら、ため息のように返す。