先輩による上書き-9
「僕も、気持ちいい。中村さんのナカ」
その言葉を皮切りに、加奈子が腰を動かす。
「ん、んんっ………んっ」
「あ、すごい…。すごく締まってる…」
「気持ち…いい、から……もう…あたし…!」
理央もさらなる高みに向かうべく、加奈子の腰の動きに合わせて小刻みに動かしていく。
「は、ぁっ……ああ、ダメっ……」
加奈子のナカがびくびくと激しく収縮する。
理央は我慢ができず、その体を押し倒して、激しくナカを突いた。
理央の股間に熱が集中し、さらには快感が身体中に侵食していく。
加奈子のとろとろのそこに打ち付ける度、自身のそれがジンジンと熱くなる。
そして、加奈子の艶っぽい、潤んだ瞳と、理央の視線が重なった。
可愛げなくりくりとした理央の目も、今では快感を得るべく、ギラギラと光らせているただのオスのそれそのものだ。
「は、ぁっ……いくっ……!」
ーーどくん、どくん、と加奈子のナカに、コンドーム越しに体液を吐き出した。
暖房がついていない、まだ薄ら寒い3月のこの部屋で、加奈子の紅潮した肌に理央の汗が何滴か滴り落ちる。
「やば……はあ……中村さんのナカ…気持ち良すぎでしょ……」
「そ、そう……?」
体を離し、ずるり、とそれを引き抜いて、コンドームを処理する。
「マジ。中村さんの良さに誰にも気づいてないの嬉しいかも」
加奈子は体を起こし、髪の毛をかきあげて、きょとんとした顔をする。
「だって、中村さんがこんなに可愛いの、僕だけが知ってるってことじゃないですか」
理央は額の汗をぬぐいながらも、ニカッと白い歯を出して笑う。
これは佳織のことを上書きする強かな感情なのかもしれないがーー
自分より年上で、佳織に嫉妬するという気持ちを持った加奈子に甘えていたかった。
理央は下半身を露出させたまま、体を起こした加奈子を抱きしめる。
「僕、中村さんに甘えたいよ」
加奈子は何も言わずに、汗ばんだ理央の髪の毛を撫でる。
こんな風に、加奈子のことを独占できるひと時が理央にとって、甘く、癒される時間となるのだった。