第三十二章 ビデオメッセージ-1
第三十二章 ビデオメッセージ
ブザー音がテレビから聞こえた。
暗転した画面の後、タイムカウント表示が映る。
黒い画面に白いバーコード。
5,4,3,2,1,0の表示がゆっくりとした速度で映っている。
知らぬ間にマウスが手に触れて、画像が動きだしたようだ。
僕達は熱いキスに夢中になって気づかなかった。
僕の泣き顔で終わった画面は変わり、しばらく暗転した状態のまま続いていたようだ。
ビデオ時間を示すカーソルは、まだ1/4ほど残っている。
大きなブザー音が鳴らなければ、気づかなかっただろう。
危ないところだった。
もしかすると、続きがあることを知らないまま、データを閉じてしまっていたかもしれない。
タイムカウント表示がゼロを示した後、意外な映像が現れた。
「かおりさん・・・
藤本さん・・み、みんな・・・」
映見が驚きの表情で、つぶやいた。
6人の顔が映っている。
裸ではなく、紹介しあった日の服装に着替えていた。
コテージのリビングで、女達が座るソファーの後ろに男達が立っていた。
それぞれが笑顔で、白い歯をこぼしている。