第三十二章 ビデオメッセージ-4
「ちょっとぉ・・・
デレデレしてないで、言いなさいよ、
ほら、肝心なことぉ・・・」
後ろ向きにわき腹にパンチをあげると、苦しそうに顔を歪めた秋生は声を絞り出した。
「うっ・・ごほっ・・・。
そ、そう・・忘れてたぁ・・・」
背筋を伸ばし、真面目な表情になった。
「あいつら・・
映見ちゃんをレイプしてた奴ら・・・」
その言葉に映見は一瞬、顔をこわばらせた。
「K市は俺とそらちゃんの縄張りだったんだ。
今でも集会には呼ばれたりして・・・」
「族とレディースの総長夫妻でーす」
そらちゃんが、明るく続く。
「それで、後輩・・・
舎弟達に探させたら、見つかったんだ・・・」
「ええっ・・・?」
映見が画面の向こうで驚いているのを知ってか知らずか、続けていく。
「あいつら、レイプしたりカツアゲしたり中途半端な悪党だから結構、界隈でも評判悪かったらしい。
茶髪とロン毛のコンビだから、すぐに分かったのさ。
ボコボコにして、映見ちゃんが映っていた携帯もぶっ壊したよ。
データをとっていたとしても、流出しようものなら、地元のヤンキー全員が敵になるぞって脅かしたら、涙流して謝ってたぜ」
かざしている携帯の画面に、男二人の写真が写っていた。
顔を腫らす姿を見て映見は確信したのか、僕に向かって小さくうなずいた。