第二十八章 慟哭-3
「うわ・・がき・・・?」
「そう・・・レイプを忘れるくらい・・・
激しいプレイで映見ちゃんの心の傷を上書きして、
消去しちゃうのよ」
「しょう・・きょ・・・?」
虚ろな目を泳がせる裕君に、桜さんとそらちゃんが近づいていく。
「私たちも、その話をきかされて・・・
凄く、驚きました」
桜さんが裕君の手を握る。
「本当・・・映見さん・・かわいそう・・・」
そらちゃんも、泣きそうな表情になっている。
「映見ちゃんも、そうすることで
忘れることができるならって・・・」
かおりさんが身体を起こし、裕君の頬に手を添える。
「いまごろ・・・激しく・・ね・・・?」
おさな子に言い聞かせるように、言葉をつないでいく。
「え、映見ぃ・・・」
裕君の顔がゆがみ、両目から涙があふれていく。
「お、俺・・なにも・・・
何も知らないで・・・」
肩が震えている。
「なのに・・・一人、喜んで・・・
はしゃいでいた・・・」
唇がいびつに開き、嗚咽が漏れだしている。
「あぁ・・うぇ・・・うぇ・・んん・・・」
ポタポタと落ちていく涙が、桜さんの手を濡らす。
「若槻さん・・・」
裕君の手を強く握りしめている。
「裕君・・・」
そらちゃんの頬にも涙が流れていた。
「うぇーん・・・ぎぇ・・
うぎぃえーんっ・・・」
子供のように泣きじゃくる裕君は、何も見えていないようだった。
「あぁ・・・あぅ・・ううう、うぅー」
鼻水が垂れているのも分からず、三人の女達の前で声を絞り出している。