午前零時のイブ-8
「もちろんでございます」継母が大姉の最後のシュミーズまで剥ぎ取ります。
前を隠す大姉に、「さあ全てお見せしなさい」手を開かせます。
「なんと美しい」王子が見入ります。「ここへ来い」
近くへ来させ、大姉の手をとります。
「ですが、姉は乙女ではありませんわ」後ろから声がかかります。下姉でした。「その黒い乳首をごらんください」
王子は手をやけどでもしたかのように飛び離れました。
「わたくしはこの女の妹でございます。正真正銘の乙女は私でございます」
「ほう、それを証明できるのか」
「私のはローズピンクでございます。それから」下姉は重いスカートを持ち上げ、股を開き秘部を王子にさらします。「どうぞおたしかめください」
明るい場所とはいえ、スカートの奥まではっきりと見えるほどではありません。
「どうかお触りになってみてくださいな」腰を突き出させます。むせ返るほどの香水の匂いが周りにたちこめました。
何人もが咳の発作に見舞われます。
「それにそこの妹は、それこそ何人もの男に抱かれる娼婦のような者でございます。考えをお改めください」
王子がイブを見返しました。「嘘を申せ。こんな子が‥」
私は顔を上げられませんでした。
「嘘だと言うなら、あったことを全てここで再現してみなさい。服を脱いで何をしたのか」継母が言います。「さあ命令よ。服を脱ぎなさい。 脱げ」
イブはその声に押されて、靴を脱ぎシュミーズを脱ぎかけました。
「本当なのか。そんなものを私に売りつけようとしてきたのだな」王子はイブの腕を持っていた手を服でぬぐいました。
「汚いものを見せるでない」大臣が叱りつけます。
「体は奪われました。継母や姉たちに命じられ、抱かれました」 震えてしまいます。見られるのが恥ずかしいからではありません。言われて、見せてしまう自分が恥ずかしかったのです。
≪おまえは妃になりたいのか、お嬢様でいたいのか、それとも人でいたいのか。決めなさい≫ 魔法使いの声がイブの頭の中に聞こえてきます。
こんな汚れた体では妃になんかしてもらえません。こんな汚い体ではお嬢様でいられません。こんなことになった今‥
「王子様どうかお許しください。今日はお祭りの日でございます。ここで身を投げることも許されません。 一晩城においでください、地下牢でいいのです。そして明日になったら処刑してください」
「おまえは死にたいのか」
「どうか放り出さないでください。このまま家に戻ったら、死ぬより辛いことが待っております」
「死ぬよりつらいだと」
「わたくしは心ならず体を奪われてしまいました。でもこのままいくと心まで奪われて、人ですらなくなってしまいます。せめて心だけは綺麗なままでいたいのです」
「そうか。一時の余興にはなったからな、お前の言うようにしてやろう」
それから、「そこの三人、前へ」
継母と姉たちは喜んで前へ出ます。
王子がにらみつけます。 「この娘が処女であったならわが城へ向かえたかもしれないものを、よくも汚してくれたな。この罪をどうあがなう」
「それをしたのはサリとカリスでございます。私は関係ございません」下姉が叫びます。
「それはカリスが、私からピアスを取り上げたのがもともとでございます」大姉が叫びます。
「カリスとはだれだ」
「この鬼母でございます」二人が声をそろえます。