秘密の四角関係(6)―前編―-4
全身から妙に入っていた力が抜けていくのがわかる。
有美と早紀は黙ったまま、不思議な安堵感と、同時に焦りを覚えた。
「わ、私も…悠也君が好き」
早紀の口から、考えるよりも前にその言葉が出ていた。
「私も!」
有美もとうとう、想いを吐き出した。
「私も……悠也君が好き」
三人は胸の内を明かし合った。
そして誰もが「やっぱり」という顔をしている。
「恋にハードルは付き物だよね」
友香はニッコリしている。
「私たち、友だちだよね?だけど、悠也君を譲る気はないよ」
友香の言葉には、不思議なことにトゲがない。
「コートではライバルでも、試合が終われば仲の良い友だち、私、沢山いるよ?」
「わかってるよ、友香」
友香の言わんとしていることはよくわかる。何故ならそれは、有美と早紀も切望していることだから。
「私たち、友だちだよ」
「うん」
三人は手を取りあった。
日が、傾き始めていた。