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秘密の四角関係
【調教 官能小説】

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秘密の四角関係(6)―前編―-2

 期末テストが近づいていた。
 有美、友香、早紀は悠也の家にいる。
 勉強という名目の元、午前からそこにいた。
 しかし悠也の姿はない。有美たちの意向で、昼間にテスト週間までの課題を済ませ、わからないところを悠也に訊くという段取りだ。
 その際、課題をやるのに悠也は一人の方が集中できるだろうということで、有美たちが自室に行くように勧めたのだった。
 真面目に勉強する気はサラサラない。この勉強会を企画したのはある目的があったからだ。
 他の二人が悠也の事をどう思っているのかを知るための場にする…三人が三人とも同じ事を考えていたので、事はスムーズに運んだ。
 リビングに残った三人はカリカリとノートに向かっている。
 美穂は庭に干してあった衣服を取り込んでいるところだった。
 ノートに黒鉛で文字や記号を記しながら、お互いに話の切り口を伺っている。
「あ…あのさ…早紀…」
 口を開いたのは有美だった。相変わらず目線をノートに遣り、右手を動かしている。
「なに?」
 早紀も同様に、参考書とノートとに目配せしながら右手をカリカリと動かす。
「この前の火曜の数学の時間、どこに行ってたの?」
 あくまで有美はさり気なく訊いたつもりだが、明らかに唐突すぎる質問だ。
「保健室よ?」
 早紀はさらりと返した。
「保健の先生は『来てない』って言ってたけど?」
 友香がそう言って会話に入ってきた。もちろん、そんな話には興味なさげにノートと向かい合ったままで。
 変わって早紀の動きは一瞬止まる。裏付けを取るようなその行為に、恐怖さえ感じた。
「そ、それは…」
「有美もさぁ?」
 早紀の先の言葉を知られそうにないと判断した友香は、矛先を有美に変えた。
「確か、用があるからって言って私たちとは別にここに来た日があったじゃない?私たちが来た時、有美、先に来てたよね?何してたの?」
「えっ?!」
 有美はギクリとした。目線はノートに向いているが、その光信号は正しく脳内に伝達されない。
 体が熱くなっているのに、寒気が背筋を駆け抜けた。
「そ、そうよ。気になるな…」
 早紀も有美を攻める流れに便乗した。
「偉いねぇ、君たち」
 洗濯物が入った籠を持って、茶化すように美穂が庭から入ってきた。
「そ、そんなこと無いですよ」
 有美は助かったと言わんばかりに、美穂の言葉に答える。
「私もたぁ〜んまりとレポート残ってるし…はぁ…」
 美穂は大袈裟に肩を落として見せた。
「さ、用を済ませてレポートやるか!」
 籠から乾いた衣服を引っ張り出し、丁寧に畳んでいく。
 有美の体から熱が抜けていく。ここは一時休戦になりそうだ。
 しばしの沈黙の時が流れた。今のうちになるべく課題を済ませておかないと、また熾烈な探り合いが勃発した時にそっちに手を着けられない。
 それと同時に当たり障りのない返答を用意しておく必要があった。
 今のところ窮地に追い込まれている有美と早紀の頭は、限界を越えるほどフル回転していた。
「そう言えば、友香ちゃん大丈夫?」
 畳終えた衣類を抱え、美穂が友香に話しかけた。
「はい、お陰様で」
 有美と早紀の頭に疑問符が連なった。何の話かさっぱり理解できなかったのだ。
「よかったね。もうビックリするくらい濡れてたからさぁ。ちゃんと天気予報見てから…」
「あの…何の話ですか?」
 美穂の話の途中で、有美が疑問を投げかけた。
「あ、聞いてないの?友香ちゃん、この前警報で学校が閉まってること知らずに登校したらしくて、それで家に来たことがあったの」
「そんなことが…」
 有美は目を細めて友香を見た。


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