第十九章 キス(映見)-2
私の欲望が、男達につたわったのだろうか。
新藤さんが、一瞬早く私の唇を奪った。
「んっ・・んんっ・・・ふぅっ・・・」
先ほどまでの自信なさげの態度とは逆に、積極的に舌を絡めてくる。
私は反射的に口を開き、男の舌を受け入れてあげた。
伸びかけのヒゲのチクチクした刺激に薄目をあけると、新藤さんの顔が目の前にあった。
黒縁眼鏡のレンズが興奮で白く曇っている。
かすかにしか見えないが、ギラギラした目が透けている。
ねばついた唾液が口の中に流し込まれてくる。
ゴクリと、飲み込むと切ない感情が私を包んだ。
私の両手は広い背中をさ迷っている。
(ああ・・わ、わたし・・・)
キスしている。
今日、会ったばかりの男と。
藤本さんの時も。
レイプされた時も。
最初のキスの感動は、私の心を揺さぶる。
「ああ・・ああぁっ・・・」
首筋に伝わる刺激に声が漏れた。
秋生さんが反対側から舌を這わせている。
「おおぉ・・おふぅ・・・」
日常で、タバコを吸っているのだろうか。
ヤニ臭い匂いが鼻腔を刺激する。
何か、獣に犯されているような錯覚を感じる。
「あっ・・・ああっ・・はぁっ・・・」
「おふぅ・・おお・・・んん・・・」
荒くなる私の息を全て吸い取るかのように、新藤さんの唇がふさぐ。
ピチャピチャと音を立てながら、激しく吸い取っていく。
新藤さんの喉が何度も上下し、私の唾液を味わっているがわかる。
私は嬉しくなり、こみ上げる唾液を次々に送り込んであげた。