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『鬼と、罪深き花畜』
【SM 官能小説】

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『鬼と、罪深き花畜』-24

「おおっ、ミツルはそんな女の格好で来たのか……ん?……あんた、確か篠田紫穂じゃないか。そうか、ミツルも篠田だったな……ガハッ。ミツルの母親だったって訳か。俺としたことが、なんとも迂闊だったな」
 先生はママを一目見るなり、驚いた表情をして大きな目をギョロつかせていました。ママはテレビの経済番組に女性の企業経営者として5、6回出演したことがあって、その後ママの美貌が注目されて一時期はワイドショーなんかにも引っ張りだこになったんです。社長業優先で現在はタレントのような活動を中断していますが、先生はママの顔と名前を覚えていたんです。
 ママはビジネス用のシックなグレーのツーピース姿でビシッと決めていました。かなり緊張しているのが分かるんです。しきりに左手で髪を掻き上げていました。僕はパステルカラーのミニのワンピースで、ウィグはお気に入りの短めのレイヤーでした。

 応接室に通されたママは冷静な口調で、僕を虜にしている性倒錯の遊戯を今後は止めてくれるように訴え、場合によっては警察沙汰にすると言ったんです。
「女社長さん、あんたは息子のことを何も分かっちゃいねえんだよ。いいか、あんたの息子は自分から俺の女になりたいと言ったんだ。そうだろ、ミツル?」
 先生は僕の貌をニヤリとしながら覗き込んできました。
「は、はい。先生の言う通りです」
 僕はそう答えるしかありません。先生の手がミニスカートの僕の膝から太腿の方に這ってきていたんです。脅しているつもりなんです。
 するとママはどうしたら僕と手を切ってくれるか、相談したいと言ったんです。
「金か?……ガハアッ、馬鹿なこと言うんじゃねえ。一億積まれたって、二億積まれたって、俺はミツルを放さねえ。ミツルはこれからもずっと俺の女だ」
 先生はママの目の前なのに僕の身体を抱きしめていたんです。そしてママの綺麗に尖った顎に手を伸ばし、それをグイッと持ち上げたんです。
「へへっ。それとも何かぁ……あの篠田紫穂さんが可愛い息子の身代わりになって、俺の女になるって覚悟があるんか?」
「何てことをおっしゃるんですか?」
 ママはひどく動揺していました。眉をひそめ、美しい貌を更に美しく艶やかに染めていました。
「息子のミツルに金輪際手出ししないと約束させたいって言うのなら、あんたにだってそれなりの覚悟があるんだろ?」
 まるで卑劣極まりないヤクザ者のような言い草です。
「ほ、ほんとにミツルに二度と手出ししないと誓って下さるのですね?」
 ママは乗ってはいけない話に乗ろうとしていたんです。黒岩先生はどんな誓いを口にしたって、約束を守るような男じゃないんです。
「そこに立って、素っ裸になってみせろよ……そうすりゃ、俺だって誓ってやろうじゃないか」
 テレビで観たママの凛々しい美貌に先生は以前からゾッコンだったらしく、華やいだ美貌に羞恥の色を散らしているママに毒牙を剥き出しにしていました。
「お約束ですよ……」
 自分が裸になれば僕を解放してもらえるという話にママは覚悟を決めて乗ってしまったんです。
「ママッ、先生の話になんか乗っちゃダメッ」
 僕は先生の両腕に抱きかかえられながら叫んだだけでした。

「あらあら、どういうことかしら?」
 きりっとした和服姿の志摩子さんが応接室にお茶を運んでこられた時、ママはグレーのスーツを脱ぎ終わっていたんです。
「ああっ、ご覧にならないでっ……」
 志摩子さんに恥ずかしい姿を見られて、ママは両腕で下着姿を隠そうとしていました。
「あら……あなた、篠田紫穂さんよね?」
 志摩子さんもママの顔をよく知っていたようです。
「驚いたことに、ミツルの母親だったんだ。こいつはミツルの身代わりで、俺の緊縛画のモデルになってくれるって言うのさ」
 いつの間にか「裸になれ」が、緊縛画のモデルに代わっていました。
「なんて素敵な方かしら。ミツルさんと瓜二つと言えば瓜二つだけど、さすがに紫穂さんの方がずっと艶めかしくて、大人の女の妖しい魅力で、うっとり見惚れちゃいますわ」
 日本人形のような志摩子さんも十分に妖艶な若い女性ですが、僕のママに敵わないのは自分でも分かっていたみたいです。
「あの紫穂さんが絵のモデルになって下さるなんて凄いことだわ。早速、縄を持ってきますわ」
 志摩子さんはそう言って駆けるようにして出て行ったんです。


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